診療支援
検査

血小板第4因子・ヘパリン複合体抗体《HIT抗体》   378,390点
anti-platelet factor 4/heparin antibody《heparin-induced thrombocytopenia antibody》
尾崎 由基男
(笛吹中央病院院長)

基準値 1.0U/mL未満


測定法 ラテックス凝集法〔ヒーモスアイエルHIT-Ab(PF4-H)(総HIT抗体測定法)〕


検体量 ラテックス凝集法:血漿20μL


日数 15分(ラテックス凝集法)


目的 ヘパリン起因性血小板減少症の診断補助およびその除外診断


Decision Level

●高値(1.0U/mL以上)

[高頻度,可能性]ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia;HIT) [対策]ヘパリン製剤の中止および抗トロンビン剤の投与


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ヘパリンを投与することにより,血小板第4因子(platelet factor 4;PF-4)とヘパリンとの多分子複合体が形成され,PF-4の高次構造が変化する.これにより新たな抗原性が提示されPF-4・ヘパリン複合体に対する抗体(HIT抗体)が産生される.HIT抗体は,血小板や血管内皮細胞を刺激することにより血小板凝集,トロンビンの産生を促進し,血小板減少症,動脈血栓症,静脈血栓症を起こす(HIT).HIT抗体は必ずしもHITを発症するわけではないが,高抗体価の症例では血栓症が起きる可能性が高いとされている.


[関連する検査]

 HIT抗体の血小板活性化能検査として,セロトニン放出試験,ヘパリン惹起血小板凝集法,血小板由来マイクロパーティクル測定法などがある.HIT抗体測定と同時に血小板数をモニターすることが重要である.


判読

 総HIT抗体測定は,血小板第4因子・ヘパリン複合体と反応するIgG,IgM,IgAの総量を示す.いずれもHITを発症する可能性があるが, HIT発症はHIT-IgG抗体量との関連が強いとされている.


採取保存

 血漿の採取には,3.2%クエン酸ナトリウム1容に血液9容を加えた血液を用いる.-20℃で数カ月保存可能.


薬剤影響

 低分子ヘパリンは未分画ヘパリンと

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