基準値 4.5~117mg/dL
測定法 免疫比濁法 (TIA法),免疫比朧法(ネフェロメトリー法)
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 IgG4関連疾患の診断
Decision Level
●117mg/dL以上
[高頻度]IgG4関連疾患 [可能性]アトピー性皮膚炎,天疱瘡,喘息,血管炎症候群,IgG4型多発性骨髄腫 [対策]IgG4関連疾患の鑑別
●4.5mg/dL未満
[可能性]IgG4欠損症 [対策]他のIgGサブクラスやIgA,IgM,IgEの測定
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
IgGのサブクラスの1つで,血清濃度はIgG1>IgG2>IgG3>IgG4の順に,IgG4が最も低い.他のサブクラスと異なり,IgG4には補体結合能がなく,その生理的機能は十分に解明されていない.近年,血清のIgG4濃度が上昇し,特徴ある臨床症状を呈する一連の疾患が明らかにされ,「IgG4関連疾患」として注目されている.
障害臓器にIgG4陽性形質細胞の著明な浸潤と線維化を認める原因不明の慢性炎症性疾患であり,表116図に示す多くの既存疾患もしくはその一部が含まれる.IgG4のカットオフ値を135mg/dLに設定する診断基準が提唱されているが,他の疾患でも上昇することがあり,IgG4関連疾患に必ずしも特異的でないことに注意すべきである.IgG4が低値の場合はIgG4欠損症の可能性がある.IgG4欠損症は他の免疫グロブリン異常と合併することがあり,IgG2欠乏症やIgA欠乏症を伴うことがある.
判読
IgG4は生後4~6カ月頃最低値となり,その後増加する.10歳未満ではかなり低値であり,検出できないこともある.
採取保存
「IgG」の項参照→.
保険注意
ネフェロメトリー法またはTIA法による.
推奨する総説
岡田和一ほか:IgG4測定方法と正常値,診断的意義.モダンメディア 57:22-25, 2
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