診療支援
検査

抗MDA5抗体《抗CADM140抗体》   270点(包)
anti-melanoma differentiation associated gene 5 antibody《anti-clinically amyopathic dermatomyositis 140 antibody》
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性(32未満)


測定法 EIA法


検体量 血清0.2mL


日数 2~5日


目的 皮膚筋炎の診断の補助


Decision Level

●陽性(32以上)

[高頻度]急速進行性間質性肺炎を伴う筋症状のないまたは乏しい皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis;CADM) [可能性]上記ではない皮膚筋炎 [対策]早急な診断確定と強力な治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 抗MDA5抗体(抗CADM140抗体)は,CADMの70%で陽性となるCADMに特異的な抗体である.CADMは生命予後の悪い急速進行性間質性肺炎を高率に合併する.抗MDA5抗体は,急速進行性間質性肺炎を伴う皮膚筋炎の早期診断の補助に有用であり,この抗体が陽性であれば早急に間質性肺炎の活動性を評価して,急速進行性であれば至急強力な免疫抑制治療を行う.


[感度・特異度]

 アジア人に頻度が高い.感度は31%と高くないが特異度は100%と高く,陰性でも否定できないことを理解しておく.


[関連する検査]

 多発性筋炎・皮膚筋炎関連の自己抗体は,その抗原と臨床的特徴の関係が明らかにされつつあり,抗Jo-1抗体を含む抗ARS抗体以外に,抗MDA5抗体,抗Mi-2抗体,抗TIF1-γ抗体などが知られている.それぞれ単独陽性となることが多く重複はまれである.そのため,予後や治療方針とも密接に相関するこれらの自己抗体から炎症性筋疾患を新たに分類し直す考えがある.


採取保存

 血清冷凍保存.


測定前後の患者指導

 本検査で陽性の場合には進行性の間質性肺炎を伴う皮膚筋炎である可能性が高い.特に筋炎症状のない皮膚症状優位の無筋症性皮膚筋炎では,早急に強力な治療を開始しないと予後不良となる可能性がある.そのため,画像検査,血清フェリチン値も参考にして患者には早急な精査・加療を要することを伝える.


保険注意

 厚生労働省

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