基準値
・7U/mL未満(FEIA)
・7U/mL以上10U/mL以下:判定保留(FEIA)
・3.0U/mL未満(CLEIA)
測定法 FEIA法,CLEIA法
検体量 血清0.3mL
日数 2~6日
目的 急速進行性腎炎症候群(RPGN)や肺出血の原因の検索
Decision Level
●陽性(FEIA法>10U/mL,CLEIA法≧3U/mL)
[高頻度]Goodpasture症候群,抗GBM抗体型糸球体腎炎 [対策]腎生検にて診断確定と,予後判定,治療方針(血漿交換,シクロホスファミド併用あるいは副腎皮質ステロイド単独療法)の決定.腎機能の急速な悪化と肺出血に特に注意
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
抗GBM抗体は感染症(インフルエンザ,COVID-19など),有機溶媒への曝露,喫煙などが引き金となって,肺・腎の基底膜の障害が生じ産生される.抗GBM抗体は糸球体係蹄の基底膜のⅣ型コラーゲンのα3やα5の非コラーゲンドメインに対する抗体である.抗GBM抗体型糸球体腎炎やGoodpasture症候群で上昇する.血尿(多くは顕微鏡的血尿,まれに肉眼的血尿),蛋白尿,円柱尿などの尿所見を伴い,週単位の短期間で進行する腎機能低下を認めるRPGNの場合や肺出血を認める場合に原疾患の鑑別の目的で行う.
陽性の場合,腎生検で蛍光抗体法により糸球体基底膜にそった線状沈着を認める半月体形成性腎炎を確認した場合に,抗GBM抗体型糸球体腎炎と診断する.さらに肺出血を合併する場合にGoodpasture症候群と診断する.抗GBM抗体陰性でも腎生検で抗GBM関連疾患と判明することがあることに留意する.
RPGNの6~7%で陽性である.そのうち4~5人に1人が肺出血を伴う.抗GBM抗体が陽性となるこれらの疾患では末期腎不全への進行率(発症10カ月で50%前後),死亡率(発症10カ月で70%前後)ともに高く,重篤