診療支援
検査

抗HLA抗体  
anti-HLA antibody
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性


測定法 フローサイトメトリー法


検体量 全血2mLまたは血清1mL


日数 3~5日


目的 臓器移植時の免疫療法効果予測(スクリーニング),抗体関連拒絶反応の診断(抗体特異性同定検査)


NOTE‍ 保険点数:1,000点(スクリーニング検査),4,850点(抗体特異性同定検査)


Decision Level

[高頻度]スクリーニングで陽性および疑陽性 [対策]抗原同定検査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 臓器移植レシピエントにドナー特異的抗体(donor specific antibody;DSA)が存在すると,抗体関連拒絶反応を惹起し免疫抑制療法による移植継続が困難になる.このため,移植前に,ドナー特異的抗体の代表格である抗HLA抗体の有無を高感度にスクリーニングする.また,移植後にモニターし抗HLA抗体が産生されていた場合,移植片拒絶につながることがあるため,その抗原の種類を同定しドナー特異的かどうか判別する.ドナー特異的抗体であった場合,移植片が拒絶される可能性が高い.

 原理を概略すると,HLA抗原を固相化させたビーズにレシピエント血清を反応させ,蛍光標識抗ヒト免疫グロブリンによって抗HLA抗体のビーズへの結合状態をフローサイトメーターにて判定する.


判読

 ビーズ搭載HLAの種類には限りがあるため,理論的にはスクリーニング偽陰性も存在する.


測定前後の患者指導

 移植が可能かどうかの予想にもつながるため,スクリーニング結果のみで安易な判断を下さないように患者にはよく伝えておく.


保険注意

①抗HLA抗体(スクリーニング検査)は,肺移植,心移植,肝移植,膵移植,小腸移植または腎移植後の患者に対して実施した場合に,原則として1年に1回に限り算定する.ただし,抗体関連拒絶反応を強く疑う場合など,医学的必要性がある場合には,1年に1回に限りさらに算定できる(診療録および診療報酬

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