診療支援
検査

抗HMGCR抗体
anti-3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase antibody
吉田 佳弘
(日本赤十字社小川赤十字病院リウマチ科部長)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性(1.0IU/mL以下)


測定法 ELISA法


検体量 血清0.1mL


日数 約2週間


目的 免疫介在性壊死性ミオパチー(immune-mediated necrotizing myopathy;IMNM)診断の補助


Decision Level

●陽性

[可能性]IMNM [対策]診断確定には適切な部位の筋生検が必要


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 炎症性ミオパチーは免疫学的機序で筋線維が障害される疾患の総称であり,単に「筋炎」と呼ぶ場合も多い.臨床症状や筋病理所見,さらに自己抗体の種類によって分類・定義されるが,IMNMは病理学的に炎症細胞浸潤に欠けるかほとんどなく,筋線維の壊死・再生が顕著な像をとるとされている.自己免疫機序が想起されており,抗SRP抗体と抗HMGCR抗体とが見いだされている.

 抗HMGCR抗体の対応抗原たる3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductaseは,コレステロール合成に関わるメバロン酸経路の酵素の1つであり,HMG-CoA還元酵素とも略称される.この酵素の阻害薬が高コレステロール血症治療薬のスタチンである.

 本抗体陽性のIMNM症例は抗SRP抗体陽性例に比して筋力低下は軽症の傾向にあり,抗SRP抗体陽性例のほうが重篤である.スタチン投与とIMNM発症との関連が報告されるが,関連性が高いのは本抗体陽性例であり,本抗体陽性の15~44%でスタチン曝露があったと報告される.スタチン投与と筋障害の関連はよく知られるが,スタチン中止で筋障害が改善しない場合は本抗体陽性のIMNMの可能性も考慮される.

 本抗体は保険未収載であるが,ELISA法にて商業ベースでの測定が可能である.


[感度・特異度]

 本抗体はIMNM症例の25%で検出されるとされる.感度・特異度とも高いとされる.


[関連する検査]

 抗SRP抗体はIM

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