診療支援
検査

抗横紋筋抗体《抗骨格筋抗体》
anti-striational antibody《anti-skeletal muscle antibody》
吉田 佳弘
(日本赤十字社小川赤十字病院リウマチ科部長)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性


測定法 蛍光抗体法


検体量 血清1mL


日数 16~23日


目的 重症筋無力症(MG)診断の補助


Decision Level

●陽性

[高頻度]MG [可能性]多発性筋炎(PM),関節リウマチ(RA),全身性エリテマトーデス(SLE),橋本病,進行性筋ジストロフィーなど [対策]原疾患の診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 横紋筋に対する自己抗体で,MGの患者の一部に検出され,複数の横紋筋蛋白が抗原として報告されている.MGの診断に際しては抗アセチルコリン受容体抗体や抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体のほうが有用であり,本抗体測定は保険収載されていない.

 ただ,本抗体は胸腺腫の合併や重症度との関連が指摘されており,病態を知るうえで測定意義がある.また免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象に筋合併症があり,MGと筋炎の特徴を併せもつような病態を呈する(PD-1ミオパチー).このような筋合併症の約70%に本抗体が検出されるとされ,バイオマーカーとしての臨床意義がある.

 代表的な抗横紋筋抗体として,titin,リアノジン受容体,電位依存性Kチャネルに対する抗体が知られており,研究室レベルで測定可能である.三者とも胸腺腫合併に関連するが,重症度や臨床像の差異が報告されている.titinに対する抗体は高齢者のMGで多いとされ,Kチャネルに対する抗体は心筋炎合併との関連が示唆されている.


[関連する検査]

①抗アセチルコリン受容体抗体:MGの診断においてまず測定される抗体である.疾患活動性の判定にも用いられる.②抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体:MGの診断において,抗アセチルコリン受容体抗体が陰性だった場合に測定する.疾患活動性の判定には用いない.


判読

 食事,時間などの影響はない.


採取保存

 血清凍結保存.


薬剤影響

 免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体(ニボルマブなど)に

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