基準値
・IgG:1~3%
・IgA:1~3%
・IgM:3~12%
・IgD:1~10%
・K(κ):3~8%
・L(λ):1~5%
測定法 フローサイトメトリー
検体量 血液1mL(抗凝固剤はEDTAまたはヘパリン).3項目以上の測定は3mL
日数 3~5日
目的 特定の免疫グロブリンを表出しているB細胞の増加をもとにした単クローン性増殖の有無の推察
Decision Level
●増加
[可能性]B細胞急性リンパ性白血病,B細胞慢性リンパ性白血病,IgA腎症 [対策]原疾患の診断と治療
●減少
[可能性]重症複合免疫不全症,IgM増加免疫グロブリン不全症,アデノシンデアミナーゼ欠損症,無または低γ-グロブリン血症(これらはB細胞全体が減少している) [対策]原疾患の診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
表面免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)はB細胞にのみ表出するが,それぞれの免疫グロブリンは抗原レセプターで,抗原刺激に対応してB細胞は抗体を産生する形質細胞(表面免疫グロブリン陰性)へと変化する.
B細胞表面免疫グロブリンの検索は,B細胞の分化状態,機能の亢進や低下の把握につながると考えられる.
単クローン性増殖か多クローン性増殖かのクロナリティー解析では軽鎖(L鎖)のκ型とλ型の細胞比率を調べる.正常範囲は約0.8~3.0である.
判読
①主にB細胞の増加が単クローン性かどうか,腫瘍性かどうかの判定に用いる.②血清中に免疫グロブリンが存在するため,判定には注意を要する.特にFcレセプター陽性細胞(単球など)が増加している場合は判定が難しい.③B細胞マーカー(CD19,CD20)などと二重染色することが望ましい.④細胞表面に非特異的な免疫グロブリンの付着を測り込むことのないように注意する.
採取保存
①採血後,速やかに測定することが望ましい.②保存する場合は室温保存.
推奨する総
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