基準値 施設により測定値が異なるので参考値を以下に示す
・蛍光抗体法:陰性
・酵素活性法(生化学的測定法):0.09nmol/108有核細胞以下
測定法 蛍光抗体法,酵素活性法
検体量 血液5mL
日数 5~6日
目的 造血器腫瘍細胞の分化段階の検索
Decision Level
●高値
[高頻度]急性リンパ性白血病(ALL)のほぼ全例が陽性,慢性骨髄性白血病(CML)のリンパ芽球性への急性転化,T細胞性リンパ芽球性リンパ腫(B細胞タイプは陰性) [対策]さらなる確定診断・病型分類には各種の表面マーカーと白血球の細胞化学的検査(染色)を併用する.
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
TdTは,DNAの3'-OH末端にデオキシヌクレオチドを重合する反応を触媒する.このTdTは正常時には造血組織(リンパ系幹細胞,未分化T細胞)のみに検出されるもので,末梢血,髄液などでTdT陽性細胞が認められれば,異常と考えられる.
また,TdTは急性骨髄性白血病(AML)ではほとんど高値を示さないので,ALLとの鑑別に有用とされる.CMLの急性転化,特にリンパ性急性転化時にも陽性を示すことから,ビンクリスチン,プレドニゾロンの併用療法を行う際の目安となる(陰性の場合でも有効なことがある).
しかし,フローサイトメトリーによる表面マーカー解析によって,より詳細に細胞の起源,分化段階を判定するようになり,抗体による細胞内TdT抗原の検索が主流になりつつある.
[関連する検査]
白血病,リンパ腫は細胞表面抗原解析で分類される〔「リンパ球サブセット,白血病・リンパ腫解析検査」の項参照→〕.
判読
小児では成人より高値.
採取保存
室温で24時間保存可能.
保険注意
白血病または悪性リンパ腫の診断または治療効果判定のために行った場合に算定する.
推奨する総説
佐々木龍平:血球化学検査─ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラー
関連リンク
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