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検査

塗抹検査《細菌顕微鏡検査,顕微鏡検査〔鏡検〕》  パニ
★★
smear test
佐藤 智明
(国際医療福祉大学成田病院検査部・技師長)

基準値 塗抹検査は,臨床材料(喀痰・膿・髄液・尿・穿刺液など)をスライドグラスに塗布し,染色を施し細菌菌体の有無(陽性・陰性),量(+,2+,3+)を表現する検査をいう.抗酸菌検査(結核菌を含む)では蛍光法やチール・ネールゼン法により陽性の場合,菌量を(-,±,1+,2+,3+)と記載する(表132).検査材料によっては,常在菌叢の存在する部位からの検査と,通常無菌の検体からの検査があり,意義づけは著しく異なるばかりでなく,染色形態と検査材料から菌名が推定可能な場合がある.菌体の観察に加えて,その検査材料中の白血球や上皮細胞の存在の有無も感染症の迅速検査の一助となる.原虫などは無染色生鮮標本で観察することが多い


パニック値 無菌材料(血液など)からの菌陽性,または抗酸菌陽性

パニック値とその原因病態・危険病態


測定法 主としてグラム染色,他にチール・ネールゼン染色,蛍光染色,ヒメネス染色,墨汁法など


検体量 約5~50μL(スライドグラス上に塗布した標本が厚すぎると染色時に剥がれて,顕微鏡下で形態観察ができないので注意)を滴下し塗り広げる.生鮮標本では検査材料を滴下した無染色で,カバーグラスをかぶせて観察する


日数 1時間程度(院内検査)


目的 検査材料中の病原菌の有無と菌種の推定


NOTE‍ 保険点数:50点(蛍光顕微鏡,位相差顕微鏡,暗視野装置などを使用するもの.ただし,集菌塗抹法を行った場合には35点を加算する),45点(保温装置使用アメーバ検査),64点(その他のもの)


Decision Level

 塗抹検査は,顕微鏡検査とも表現され,通常油浸レンズを用い1,000倍で鏡検する.細菌の菌量と,白血球などの生体細胞の量などを観察報告する.細菌の培養・同定には時間を要するため,適切な臨床検体が得られれば,迅速に原因菌を推定し,治療薬を選択するための重要な情報となる.喀痰の品質管理

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