基準値 陰性
測定法 PCR法,シークエンス
検体量 血液2mL
日数 2~10日
目的 病原真菌の検出・同定
Decision Level
●陽性
[高頻度]真菌症 [対策]培養検査や画像検査での感染症の確認
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
真菌の遺伝子検査は,菌の検出・診断に用いる場合と,菌の同定・分類に用いる場合の2つに大別される.前者は臨床検体から抽出された遺伝子を用い,PCR法にて行われることが多く,後者は菌体から抽出された遺伝子の一定領域の塩基配列をシークエンスすることで判定される.
■検出・診断
臨床検体からの菌検出については感度・特異度・コストを考慮すると現状において血清診断法を超えるものではない.しかし,汚染による影響を取り除くことができれば,起炎菌の特異的遺伝子の検出や基準となる遺伝子配列の解析によって種レベルの同定が可能であり,補助的診断として有用である.現在,下記のものが臨床検体を用いた真菌遺伝子診断法として商業的に利用可能であるが,保険適用はされていない.①GeniQ-カンジダ/アスペルギルス:real time-PCR法による定量的遺伝子診断法.②病原真菌遺伝子検出:広範囲の病原真菌を標的としたPCR法による定性的遺伝子診断法.nested PCR法を施行することで感度が高まり,さらに直接塩基配列決定法を併せて行うことで病原真菌の同定も期待できる.③ニューモシスチス遺伝子診断:かつては原虫として扱われていたPneumocystis jirovecii(旧名 P. carinii)だが,現在は真菌に分類される.
■同定・分類
rRNA遺伝子には,18S,58S,26S,5Sのサブユニットと18Sと26S間のITS(internal transcribed spacer)1,ITS2領域,26Sと18S間からなるIGS(intergenic spacer)領域が存在