診療支援
検査

毒素性(トキシック)ショック症候群毒素-1産生性試験および遺伝子検査
toxic shock syndrome toxin-1(TSST-1) production test and detection of TSST-1 gene
今西 健一
(日本保健医療大学特任教授)

基準値 陰性


測定法

①逆受身ラテックス凝集反応法(RPLA法):分離黄色ブドウ球菌株のTSST-1産生性試験,TST-RPLA(デンカ生研)を用いる

②PCR法:分離黄色ブドウ球菌株のTSST-1遺伝子の検出.Primers for the test gene of Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌毒素性ショック症候群毒素遺伝子検出用.Primer Set TST-1&2,タカラバイオ)を用いる


検体量

①分離菌株の培養上清.②分離菌株


日数

①2日間.②6時間


目的 毒素性ショック症候群(TSS)/新生児TSS様発疹症(NTED)の診断


Decision Level

●陽性

[可能性]黄色ブドウ球菌の産生するTSST-1によるTSS/NTEDが疑われる [対策]臨床所見からTSSあるいはNTEDが疑われる場合は,T細胞中のVβ2陽性T細胞百分率を測定する.「毒素性ショック症候群/新生児毒素性ショック症候群様発疹症診断検査(TSS/NTED)」の項(次項)を参照


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 TSST-1遺伝子をもつ黄色ブドウ球菌が病巣で定着・増殖して,TSST-1を産生分泌する.本菌がTSST-1を分泌する株か否か,あるいはTSST-1遺伝子を保有している株か否かを判定するのが本検査である.


[感度・特異度]

 測定法②は遺伝子検出であるため,不活化された細菌も検出し,生菌のみを検出対象とするものではない.判定の確定には,遺伝子検査だけではなく,培養検査などの結果,たとえば測定法①も併用することが望ましい.


[関連する検査]

 T細胞中のVβ2陽性T細胞百分率による「TSS/NTED」を推奨する.患者の血清を保存できれば,血清中のTSST-1などを測定してデータの蓄積をし,診断法の改善に役立てたい.


判読

①菌株のTSST-1の産生,あるいは遺伝子が検出されれば,臨床所見

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