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毒素性(トキシック)ショック症候群/新生児毒素性(トキシック)ショック症候群様発疹症診断検査〔TSS/NTED〕
toxic shock syndrome/neonatal TSS-like exanthematous disease analysis
今西 健一
(日本保健医療大学特任教授)

基準値

・CD4陽性T細胞中のVβ2陽性T細胞百分率:7~12%

・Vβ2陽性CD4陽性T細胞中のCD45RO陽性細胞百分率:21~60%


測定法 フローサイトメトリー


検体量 血液3mL(抗凝固剤はヘパリン)


日数 4時間


目的 毒素性ショック症候群(TSS)/新生児TSS様発疹症(NTED)の診断


Decision Level

●Vβ2陽性T細胞増加

[高頻度]TSST-1によるTSS/NTED

●Vβ2陽性T細胞は基準値あるいは微増だが,CD45RO陽性細胞増加

[可能性]TSST-1によるTSS/NTEDが疑われる [対策]時間をおいて再検査し,Vβ2陽性T細胞およびCD45RO陽性細胞の変動の経過観察を行う

●Vβ2陽性T細胞減少

[可能性]TSST-1によるTSS/NTEDが強く疑われる [対策]Vβ2陽性T細胞が増加する前(感染の初期)に著しく減少するので,時間をおいて再検査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 TSSや多臓器障害を伴うブドウ球菌感染症においては,病巣で黄色ブドウ球菌が増殖し,スーパー抗原であるTSST-1を産生する.このTSST-1が体内に入り,血流で全身に拡散する.TSST-1はT細胞レセプターにVβ2をもつT細胞(一般の抗原に比較し,膨大な数のT細胞)を活性化する.成人の場合,大量で種々のサイトカインが短時間に放出され,その結果,生体の恒常性が破綻し,発熱,血圧低下,多臓器障害などを短時間に起こし,早期の処置を誤れば死の転帰をとる.新生児の場合は,T細胞が同様に活性化されるが,T細胞が未熟なため軽快する場合が多い.TSST-1応答性のVβ2陽性T細胞百分率の変動を検査することは早期の確定診断につながる.


[関連する検査]

①病巣から得られた黄色ブドウ球菌がTSST-1産生株であるか否か知ることは,確定診断に重要であり,並行して行う.②患者血清を保存できれば,血清中

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