診療支援
検査

SARSコロナウイルス抗体
anti-SARS coronavirus antibody
北村 義浩
(日本医科大学医学教育センター個別化教育推進部門・部門長(特任教授))

基準値 陰性


測定法 ELISA,IFA


検体量 血清1mL


日数 検査は1日(送付も含めて数日)

NOTE 行政検査として行われる


目的 ウイルス特異的抗体の検出によるSARSコロナウイルスの検出


Decision Level

●陽性

[高頻度]重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome;SARS).特異性は高いとされ,偽陽性がでることはまれとされる [対策]臨床症状,遺伝子増幅検査,ウイルス分離の結果と併せて総合的に判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 SARSコロナウイルスに感染して発熱した後7日くらいから,SARSコロナウイルス抗体を血清中に検出し始める.


[感度・特異度]

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2;2型SARSコロナウイルス)に対して交差する可能性は否定できない.


判読

 陰性結果は必ずしもSARSを否定し得ない.


採取保存

①血液は血清に分離した後,スクリューキャップつきプラスチックチューブに入れ,蓋をした後,さらにパラフィルムにてシールする.-20℃以下で凍結保存.すぐに送付するなら4℃でもかまわない.ジップつきプラスチックバッグで3重に梱包して4℃ないしは-20℃で国立感染症研究所か地方衛生研究所に送付する.具体的には保健所と相談する.②急性期血清は発症10日以内(通常初診時)に,回復期血清は発症28日以降に採取したペアで送付する.できれば,1週間ごとなど可能な限り多くの病日の血清を保存し,同時に送付.なお,RT-PCR法などの病原体診断で陽性となった場合には,3~4日ごとに採取し送付する.また,病原体診断で陽性とならない場合でも,SARSが強く疑われる場合は,より早期から血清抗体検査を試みる.


測定前後の患者指導

 SARS検査(行政上および研究目的)への協力を被検者に十分説明のうえ,インフォームドコンセントを得たうえ

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