基準値 陰性
測定法 イムノクロマト法
検体量 角結膜ぬぐい液
日数 院内検査:15分
目的 アデノウイルスによる結膜炎の診断
Decision Level
●陽性
[高頻度]流行性角結膜炎(EKC),咽頭結膜熱(PCF) [対策]急性出血性結膜炎(AHC),単純ヘルペスウイルス結膜炎との鑑別が大切となる.必要により,ウイルス分離,アデノウイルスDNA検出を行う
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ウイルス性結膜炎の病因は,アデノウイルスとエンテロウイルスが主である.アデノウイルスは,54の血清型があり,結膜炎の原因ウイルスは3,4,7,8,19,37型が主である.
3,4,7型はPCFの病因として,8,19,37型はEKCの原因として,11型は急性出血性膀胱炎を起こすことがある.
PCFは別名プール熱とも呼ばれ,夏季にプールを介して流行することが多い.また,EKCも眼科伝染性疾患として,ウイルスに汚染された手指から眼への接触伝播が考えられている.本検査を行うことにより,的確な診断ができる.
[感度・特異度]
PCR法と比較した感度は91.2%,特異度は98.4%である(イムノエース アデノ).
[関連する検査]
必要によりアデノウイルス抗体測定,ウイルス分離培養,遺伝子検査(PCR法,LAMP法)を行う.
判読
①発症から4日以内の検体採取が推奨されている.②検体の採取手技により,検出感度が左右される.③迅速診断キットの特異度は高いが,検出感度はウイルス分離やPCR法に比べやや劣るため,偽陰性の可能性も考慮する必要がある.
採取保存
専用容器にて乾燥しないよう密閉して冷蔵.
保険注意
咽頭粘膜上皮細胞中および角結膜上皮細胞中ともに,保険上はアデノウイルス抗原定性(糞便を除く)として統合されている.
推奨する総説
内尾英一:ウイルス感染症 アデノウイルス結膜炎.医学と薬学 71:2263-2268,20
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