診療支援
検査

アデノウイルス抗原 角結膜上皮細胞中アデノウイルス抗原   184点
adenovirus antigen
栁原 克紀
(長崎大学大学院教授・臨床検査医学)

基準値 陰性


測定法 イムノクロマト法


検体量 角結膜ぬぐい液


日数 院内検査:15分


目的 アデノウイルスによる結膜炎の診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]流行性角結膜炎(EKC),咽頭結膜熱(PCF) [対策]急性出血性結膜炎(AHC),単純ヘルペスウイルス結膜炎との鑑別が大切となる.必要により,ウイルス分離,アデノウイルスDNA検出を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ウイルス性結膜炎の病因は,アデノウイルスとエンテロウイルスが主である.アデノウイルスは,54の血清型があり,結膜炎の原因ウイルスは3,4,7,8,19,37型が主である.

 3,4,7型はPCFの病因として,8,19,37型はEKCの原因として,11型は急性出血性膀胱炎を起こすことがある.

 PCFは別名プール熱とも呼ばれ,夏季にプールを介して流行することが多い.また,EKCも眼科伝染性疾患として,ウイルスに汚染された手指から眼への接触伝播が考えられている.本検査を行うことにより,的確な診断ができる.


[感度・特異度]

 PCR法と比較した感度は91.2%,特異度は98.4%である(イムノエース アデノ).


[関連する検査]

 必要によりアデノウイルス抗体測定,ウイルス分離培養,遺伝子検査(PCR法,LAMP法)を行う.


判読

①発症から4日以内の検体採取が推奨されている.②検体の採取手技により,検出感度が左右される.③迅速診断キットの特異度は高いが,検出感度はウイルス分離やPCR法に比べやや劣るため,偽陰性の可能性も考慮する必要がある.


採取保存

 専用容器にて乾燥しないよう密閉して冷蔵.


保険注意

 咽頭粘膜上皮細胞中および角結膜上皮細胞中ともに,保険上はアデノウイルス抗原定性(糞便を除く)として統合されている.


推奨する総説

 内尾英一:ウイルス感染症 アデノウイルス結膜炎.医学と薬学 71:2263-2268,20

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