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検査

インフルエンザウイルス抗体   79点
influenza virus antibody
栁原 克紀
(長崎大学大学院教授・臨床検査医学)

基準値

・HI:血清10倍未満,髄液10倍未満

・CF:血清4倍未満,髄液1倍未満


測定法 HI(WHO方式),CF


検体量 HI・CF:血清0.2mLまたは髄液0.4mL,CF:血清0.3mLまたは髄液0.4mL


日数 5~9日


目的 ①インフルエンザウイルスによる感染の有無の判定,②ワクチン有効性の評価


Decision Level

●高値

[高頻度]インフルエンザウイルス感染症 [対策]発病後3日以内の急性期に迅速抗原検出キットを用いてインフルエンザウイルス抗原を検出,またはウイルス分離し,抗原分析を行うことにより,抗インフルエンザ薬の投与などに有効


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 インフルエンザウイルスは,核蛋白(NP)の抗原性により,A,B,C型に区別され,A型は,赤血球凝集素(HA)と,ノイラミニダーゼ(NA)の抗原性により,亜型に分類される.HAはH1~H16まで,NAはN1~N9までに分かれる.世界的流行を起こすのはA型とB型であり,ワクチンはこれらを対象としている.

 インフルエンザは,かぜ症候群ウイルス感染症の1つであるため,くしゃみ,鼻水,のどの痛み,咳,発熱などの臨床症状で,インフルエンザあるいはかぜとして扱われる.インフルエンザウイルス感染者を確定,治療することは,高齢者・妊婦・乳幼児などへの感染防止や二次的に併発する肺炎などによる死亡者を防ぎ,ワクチン予防接種などに対しても重要となる.


[関連する検査]

 急性期の診断治療を目的とする場合,迅速診断キットによるインフルエンザウイルス抗原検出を行う.必要に応じてウイルス分離や遺伝子診断を行う.


判読

①ペア血清について4倍以上の有意な上昇をもって診断する.②単一血清では既往歴,不顕性感染の検出ができる.③HI:HA蛋白質に対する抗体を測定するため株特異的で,その年の流行株の鑑別やワクチンの有効性の評価に利用できる.④CF:A

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