診療支援
検査

サイトメガロウイルス抗体〔CMV抗体〕  
cytomegalovirus antibodies《antibodies against cytomegalovirus》
峰松 俊夫
(愛泉会日南病院・疾病制御研究所長)
南嶋 洋一
(宮崎大学名誉教授)

基準値 なし(抗体陰性と判断する検査上の基準は,測定法や使用キット,検査施設によって異なる)


測定法 NT,CF,PA,EIA,FA,ELISA,CLIA


検体量 血清(血漿)1mL


日数

・NT:10~14日

・その他の測定法:1~5日


目的 サイトメガロウイルス(CMV)感染の有無の判定


NOTE‍ 保険点数:79点〔ウイルス抗体価(定性・半定量・定量)〕,206点(グロブリンクラス別ウイルス抗体価)


Decision Level

●抗体陽転,ペア血清を用いた同時測定による従来の測定系における4倍以上の抗体価の有意上昇,抗CMV-IgM抗体の検出

[高頻度]CMVの初感染,再感染,回帰感染 [可能性]輸血,γ-グロブリン製剤の投与 [対策]CMVの分離・同定,組織病理学的検査,CMV抗原診断,CMV核酸診断,臨床所見の検討


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 CMVの検査において,抗体価の基準値は存在せず,抗体の有無によりCMVに既感染か,未感染であるかを示すにすぎない.ただし,抗体陽転,ペア血清を用いた同時測定による従来の測定系における抗体価の有意上昇,あるいは抗CMV-IgM抗体を検出した場合には,活動的なCMV感染を疑いうる.抗CMV-IgM抗体はCMVの初感染だけでなく,再感染,回帰感染においても陽性となりうる.抗体測定において活動的なCMV感染が示唆される場合でも,ウイルス学的検査所見や臨床所見を総合的に判断し,CMV感染症であるか否かを決定しなければならない.通常の抗体検査の陽性所見のみでCMV感染症を診断することはできない.

 日本人成人の約70%はCMVに既感染で,抗CMV抗体が陽性であることを念頭におくべきである.また,輸血やγ-グロブリン療法を行った患者においては,抗CMV-IgG抗体検査の結果の解釈は慎重にする必要がある.

 一般に感染症においては,抗体陽性という所見に意

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