診療支援
検査

サイトメガロウイルス抗原〔CMV抗原〕
cytomegalovirus antigens
峰松 俊夫
(愛泉会日南病院・疾病制御研究所長)
南嶋 洋一
(宮崎大学名誉教授)

基準値 なし


測定法 酵素抗体法,蛍光抗体法,ウエスタンブロッティング,シェルバイアル法


検体量

・尿,脳脊髄液,気管支肺胞洗浄液(BALF),血液,咽頭ぬぐい液,その他:いずれかの検体1~5mL

・生検材料:固定済み連続切片で2~3枚


日数 1~5日

NOTE 保険適用:サイトメガロウイルス(CMV)抗原血症検査は保険適用あり


目的 CMV感染の判断


Decision Level

●CMV抗原陽性細胞の検出

[高頻度]CMV感染,CMV感染症 [対策]CMVの分離・同定,定量的CMV核酸測定,CMV-後期mRNAの検出,組織病理学的検査,臨床所見の検討


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 CMVの増殖経過に従って,その感染細胞には前初期抗原,早期抗原,後期抗原が発現する.非感染細胞や潜伏感染状態の細胞ではCMV抗原は発現せず,CMV抗原陽性細胞の検出はCMVが活動的な感染状態にあることを示している.ただし,前初期抗原や早期抗原が陽性であっても,感染性CMV粒子が産生されない流産感染は起こりうる.

 CMV pp65(p65)抗原陽性多形核白血球の出現,いわゆるCMV抗原血症は健常感染者には認められず,CMV感染症を示唆する検査所見である.

 検体中の抗原陽性細胞の直接検出とは別に,検体中の感染性CMVをヒト線維芽細胞(2倍体細胞)に接種して分離培養し,感染細胞に出現したCMV特異抗原の検出によって迅速同定する方法が行われている(シェルバイアル法など).

 最終的にCMV感染症と診断するためには,CMVの証明とCMV感染によって説明しうる臨床所見の両者が不可欠である(CMV感染とCMV感染症は同義語ではない).


[関連する検査]

 CMV核酸診断において通常細胞が含まれない検体(血清など)からCMV-DNAが検出された場合には,活動的CMV感染を考慮する.


採取保存

①できるだけ新鮮な検体を用い,保存する場

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