診療支援
検査

腫瘍マーカーの選択基準と注意点
北村 聖
(地域医療振興協会顧問)

■腫瘍マーカーの効率的利用

 腫瘍マーカーとは,正常細胞ではほとんど産生されず腫瘍細胞特異的に産生される物質,または腫瘍細胞が生体内にあることによって産生される物質と定義される.臨床的には,癌の補助診断,病期の判定,治療効果の判定,経過観察,予後推定などの指標となるものである.近年,癌細胞の遺伝子の解析が進み,遺伝子変異の検査も一種の腫瘍マーカーと考えられるが,本項では遺伝子変異の検査は除く.現在腫瘍マーカーとして臨床検査に使われている項目は50種類近くになっている.主なものを表184に示す.これらの検査は癌の診療に広く使われているが,これを適切に使うには相当な専門知識と,各々の特殊性を理解しておく必要がある.腫瘍マーカーの利用に関して注意しておくべき事項をいくつか指摘する.

●施設間差・キット間差

 CEA,CA19-9などでは使用キット間での基準値が異なる.多くの場合は数値の互換もないので

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