基準値
・血清:75ng/mL未満
・尿:15~20ng/mL未満
測定法 EIA
検体量
・血清0.3mL
・尿0.5mL
日数 3~5日
目的 広範囲の悪性腫瘍の腫瘍マーカー
Decision Level
●血清BFP:75ng/mL以上(増加)
[高頻度]原発性肝癌,胆道系癌,膵癌,腎癌,前立腺癌,精巣(睾丸)腫瘍,子宮体癌,卵巣癌,肺小細胞癌,白血病 [可能性]肝炎,肝硬変,膵炎,胆石症,前立腺肥大症,子宮筋腫 [対策]他の臓器特異性の高い腫瘍マーカーを測定する.画像診断を施行し癌の部位診断を行う.また肝炎などの偽陽性を除外するためにAST,ALTなどの生化学的肝機能検査を行う
●尿BFP:20ng/mL以上(増加)
[高頻度]尿路上皮癌(特に膀胱癌) [可能性]膀胱炎,前立腺肥大症 [対策]尿細胞診,尿潜血(顕微鏡的血尿)検査を併用する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
BFPは石井により見出された分子量55,000の塩基性の癌関連胎児性蛋白である.BFPは健常ヒト血清や腸などの組織には見出されないが各種癌組織には広汎に分布し血清中に移行する.血清BFPは前述の種々の癌のスクリーニング,および病状経過(術後再発,治療効果判定など)のモニタリングに用いられるが,他の腫瘍マーカーとの相関性がきわめて低いため,他の腫瘍マーカーとの組み合わせ検査が有用である.また早期癌における陽性率が他の腫瘍マーカーに比べて若干高い特徴がある.尿BFPは尿路上皮癌(膀胱癌,尿管癌)のスクリーニングおよび経過のモニタリングに有用である.
判読
①血清BFP陰性の肝硬変が陽性化した場合,原発性肝癌の可能性が高い.②血中BFPの偽陽性率が特に高い疾患は肝炎である.③溶血検体では高値を示す.④比較的早期から血中BFPの上昇を示す傾向の強い疾患に生殖器系の癌があげられる.⑤膀胱全摘後の回腸導管あるいは尿管皮膚瘻からの尿中BFP
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