診療支援
検査

SCC抗原《扁平上皮癌関連抗原》   104点(包)
squamous cell carcinoma related antigen
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))

基準値

・1.5ng/mL未満(RIAビーズキット,EIA,CLIA)

・2.6ng/mL未満(RIA)


測定法 RIA,IRMA,EIA,CLIA


検体量 血清0.3mL


日数 2~4日


目的 扁平上皮癌の腫瘍マーカー


Decision Level

●RIAビーズキット,CLIA:1.5ng/mL以上(増加)

●RIA:2.6ng/mL以上(増加)

[高頻度]子宮頸癌(扁平上皮癌),腟扁平上皮癌,外陰癌,皮膚癌,肺癌(扁平上皮癌) [可能性]食道癌,肺癌(非扁平上皮癌),上気道癌,頭頸部癌,成熟嚢胞奇形腫の悪性化,膀胱癌(扁平上皮癌,移行上皮癌),各種呼吸器良性疾患(肺炎,肺結核,慢性閉塞性肺疾患,気管支喘息),乾癬,天疱瘡 [対策]高値をみた場合には,扁平上皮癌の出現を考え検索を行う.いずれの癌にも細胞組織診断法あるいは画像診断法に比較的優れたものがあるので,それらを利用する.SCC高値の場合,進行癌の可能性が高いので,その対処を行う.治療後の症例で上昇をみた場合,再発,転移を疑い,その検索を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 SCC抗原は1977年に加藤らにより子宮頸部扁平上皮癌の肝転移巣から精製された,分子量約44,500Daの蛋白質であり,serine protease inhibitor familyと高いホモロジーをもつ.唾液中にも多量のSCC抗原が放出されており,何らかの生理的役割が推察されている.扁平上皮癌では細胞外へ放出されることが多い酸性分画が上昇しており,これが血中へ放出されるため血中陽性率が高くなると思われる.また一般に扁平上皮の存在する部位に広範な炎症や重症疾患が存在すれば血中濃度は上昇しうる.以上より,SCC抗原は各種臓器の扁平上皮癌の診断,治療効果,経過観察のモニターとして有用である.


[関連する検査]

 シフラ(サイトケラチン19フラグメント):肺扁平上皮癌で

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