診療支援
検査

CA15-3(糖鎖抗原15-3)   115点(包)
carbohydrate antigen 15-3
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))

基準値 27U/mLもしくは30U/mL未満(検査機関によって異なる)


測定法 RIA,EIA,CLEIA,CLIA,ECLIA


検体量 血清0.5mL


日数 3~5日


目的 乳癌の腫瘍マーカー


Decision Level

●30U/mL未満(基準範囲)

[高頻度]健常者,乳腺良性疾患 [可能性]原発乳癌,乳癌の局所再発,乳癌以外の癌

●30U/mL以上(増加)

[高頻度]乳癌の転移,再発 [可能性]原発乳癌,乳癌の局所再発,乳癌以外の癌(卵巣,子宮,膵,肺,大腸,胃)

●対策

 乳癌患者で異常値を認めた場合には転移巣の存在が疑われるのでCT,超音波,骨シンチグラフィーなどで転移部位の検索を行う.術後患者で高値を認めた場合,再発が疑われるので頻回の画像診断を行う.また,他の腫瘍マーカー(CEA,TPAなど)を組み合わせて測定する.乳腺良性疾患および健常者の偽陽性率は低い(1%程度)


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 CA15-3はhuman milk-fat globule membraneを免疫原とするモノクローナル抗体115D8と,モノクローナル抗体DF3とを併用することで測定される乳癌関連抗原である.115D8は癌に対する感度が高く,DF3は乳癌に対する特異性が高いという特徴があり,これら2つを組み合わせることで乳癌の有用なマーカーとなっている.現在では乳癌および卵巣癌のマーカーとして用いられているが,早期診断には不適で,治療評価,経過のモニターに適している.なお,反応性の違いからCEAとの併用は陽性率を高めるのに有用である.


[関連する検査]

 BCA225:CA15-3と同じく乳癌術後のモニタリング,再発乳癌に対する治療効果判定に有効である.


[特定背景のある患者]

①妊娠期,授乳期女性では変動がみられる.②肝や腎障害の影響を受けないといわれているが,肝硬変で50U/mL程度までの上昇がみら

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