基準値
・男性:0.5~4.9ng/mL
・女性:0.8~4.8ng/mL(閉経期前後で差なし)
NOTE 大きな性差なし(骨転移マーカーのカットオフ値:4.5ng/mL)
測定法 RIA(RIA2抗体法)
検体量 血清0.3mL
日数 2~4日
目的 癌の骨転移の診断.骨吸収のマーカー
Decision Level
●高値
[高頻度]乳癌,肺癌,前立腺癌の骨転移例 [可能性]腎不全,副甲状腺機能亢進症,甲状腺機能亢進症
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
Ⅰ型コラーゲンは骨や皮膚などの構成蛋白で,特に骨基質の90%以上を占める蛋白質で,α鎖3分子がらせん状の3本鎖ドメインを形成し,そのN末端・C末端のテロペプチドがピリジノリンまたはデオキシピリジノリンで架橋されてコラーゲン線維を形成している.骨吸収によってマトリックスメタロプロテアーゼの作用を受けてⅠ型コラーゲンが分解されると,テロペプチド部分は架橋されたまま断片として血中に遊離し,C末端部分を含むピリジノリン架橋断片が,比較的大きな断片であるⅠCTP(Ⅰ型コラーゲン-C-テロペプチド)となる.破骨細胞由来のカテプシンKの作用でコラーゲンが分解されるとⅠ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)やⅠ型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX)などができるのとは異なるが,いずれも骨吸収を反映するマーカーである.
そして,他の骨吸収マーカーが生理的な骨吸収で増加するのに対し,ⅠCTPは病的な骨吸収以外ではほとんど上昇しない.したがって,骨代謝マーカーとしての骨粗鬆症に適応はなく,腫瘍マーカーとして位置づけられている.すなわち,悪性腫瘍,特に乳癌,肺癌,前立腺癌であると確定診断された患者について,骨転移の診断,治療経過観察のために測定される.なお,ⅠCTPは腎臓を経て尿中に排泄されるので,腎不全で高値を示す他,副甲状腺機能亢進症,甲状腺機能亢進症で高
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