診療支援
検査

シアリルLex抗原〔CSLEX〕   160点(包)
sialyl Lewisx antigen
前川 真人
(浜松医科大学教授・臨床検査医学)

基準値 8U/mL未満


測定法 EIA


検体量 血清0.3mL


日数 3~5日


目的 肺腺癌,再発乳癌およびその他の癌の診断補助


Decision Level

●高値

[高頻度]肺腺癌,膵癌,大腸癌,卵巣癌,胃癌,肝癌,再発乳癌,慢性肝炎 [可能性]肝硬変,慢性および急性呼吸器感染症 [対策]癌の他に,肝疾患や炎症性疾患での陽性率も高いことを認識しておく


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 CSLEXはⅡ型糖鎖のシアリルLexを広く認識するモノクローナル抗体で測定される.

 本抗原は健常者の腎臓と顆粒球に,肝炎では肝細胞周囲に証明される他,癌では肺,胃,大腸,乳腺,肝,膵,卵巣などの癌組織で作られて,血清中に証明される.急性相反応物質であるα1-酸性糖蛋白(α1-AG)上の糖鎖にも本抗原がある.

 特に乳癌では,進行乳癌・再発乳癌において高い陽性率を示し,原発性乳癌における陽性率が他マーカーと比較して高く,測定値の変動が治療効果判定と一致するため,術後のモニタリングおよび再発の早期発見に有用である.また,良性乳腺疾患における偽陽性率が低い.


[感度・特異度]

 癌以外に感染症や慢性肝炎で高率に増加することから,腫瘍マーカーとしての特異性はSLX(シアリルSSEA-1糖鎖:シアリルLex-i抗原を認識)に劣る.


[関連する検査]

 CSLEXは腺癌で陽性率が高い腫瘍マーカーであり,CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーと関連しているため,それらのほうが優先的に測定されている.また,乳癌のマーカーとしてCA15-3と関連する.


[特定背景のある患者]

 肝炎や肝硬変などの肝疾患患者,炎症性疾患患者でも高値を示すことがあることに留意する.


判読

 SLX(シアリルLexにGlcNAc),ならびにNCC-ST-439(シアリルLexに硫酸基のついた糖鎖だけを認識)の抗原糖鎖とも反応する.ルイス血液型の影響を受けない.

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