基準値 13.6U/mL未満(平均値±2SD)
測定法 酵素免疫測定法(double determinant EIA)
検体量 血清0.2mL
日数 2~4日
目的 卵巣癌の診断
Decision Level
●高値:13.6U/mL以上(陽性)
[高頻度]①20U/mL以上は卵巣癌の確率が高い:卵巣癌53%(Ⅰ期癌23%,Ⅱ期癌42%,Ⅲ期癌57%,Ⅳ期癌68%,再発癌61%,漿液性嚢胞腺癌53%,粘液性嚢胞腺癌30%,類内膜腺癌60%,明細胞腺癌43%,未分化癌45%,転移癌41%).②疑いが否定できない疾患:良性卵巣腫瘍7%,子宮内膜症5.6%,健常女性2.6% [可能性]胃,大腸,膵臓,肺など婦人科以外の癌(17%) [対策]陽性の場合は卵巣癌の確率が高い
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
GATは,癌化に伴い異常発現するβ(1-4)ガラクトース転移酵素のアイソザイムを解析するなかで,卵巣癌腹水中から発見された分子量約50,000の癌に関連したガラクトース転移酵素である.細胞の癌化に伴って発現した異常糖鎖に由来する種々の「糖鎖抗原」が腫瘍マーカーとして確立されてきたが,こうした異常糖鎖の生成には糖転移酵素の異常が一因として関与すると考えられており,GATもその1つである.
血清中GAT濃度は卵巣癌患者で上昇し,卵巣癌と内膜症性嚢胞との鑑別,卵巣癌の治療効果の判定,再発の発見などに有用とされている.CA125などの他の卵巣癌マーカーと比較して陽性率は劣るが癌特異性が高い.たとえば,CA125は卵巣癌において70~80%の高い陽性率を示す反面,良性疾患である子宮内膜症(内膜症性嚢胞)でも約50%が陽性化するが,GATの婦人科良性疾患における偽陽性率は10%未満である.すなわち,内膜症性嚢胞を有する,または内膜症性嚢胞が疑われる患者での卵巣癌の診断や治療モニタリングにはGAT測定が有用
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/CA19-9(糖鎖抗原19-9) [保] 124点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/NCC-ST-439 [保] 115点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/シアリルSSEA-1《シアリルLex-i抗原〔SLX〕》 [保] 144点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/CA15-3(糖鎖抗原15-3) [保] 115点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/CA125(糖鎖抗原125) [小][保] 140点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/TFPI2(組織因子経路インヒビター2)《PP5(胎盤蛋白質5)》 [保] 190点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/CA602(糖鎖抗原602) [保] 190点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/シアリルTn抗原〔STN〕 [保] 146点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/CA54/61(糖鎖抗原54/61)《CA546(糖鎖抗原546)》 [保] 184点(包)