診療支援
検査

遊離型PSA/総PSA《フリーPSA/トータルPSA》   150点(包)
free prostate-specific antigen/total prostate-specific antigen
磯谷 周治
(順天堂大学大学院准教授・泌尿器外科学)
堀江 重郎
(順天堂大学大学院教授・泌尿器外科学)

基準値 15~19%(キットによって異なる)


測定法 EIA,CLEIA


検体量 血清0.5~0.7mL


日数 2~3日


目的 前立腺癌のスクリーニング


Decision Level

●PSA4~10ng/mLで遊離型PSA/総PSAが15~19%以下(基準値以下)

[高頻度]前立腺癌 [可能性]前立腺肥大症,前立腺炎 [対策]前立腺針生検


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 前立腺特異抗原(PSA)は前立腺癌の診断,治療効果の判定と経過観察に必須の腫瘍マーカーであるが,PSAの軽度上昇域(4~10ng/mL)は偽陽性率が高いグレイゾーン(gray zone)とされている.PSAは血清中ではα1-アンチキモトリプシン(ACT),およびα2-マクログロブリンと結合して複合体を形成しており,一部が非結合の遊離型PSA(F)として存在する.前立腺癌患者では結合型PSAの割合が高いことが知られており,遊離型PSA/総PSA比(F/T比)は前立腺良性疾患より低い傾向があることからPSAのグレイゾーンにおいて,F/T比の適切なカットオフ値を設けることによって前立腺癌診断の特異性を向上させ,不必要な生検を回避することができると期待されている.治療効果判定,予後推測の意義はまだ確立していない.


[関連する検査]

 γ-Smは遊離型PSAを認識しているためにγ-Sm/PSAもF/T比と同様の有用性がある.


判読

 遊離型PSAは直腸触診や尿道操作の影響により上昇する.いわゆるPSAグレイゾーンにおいてF/T比が低値の場合は前立腺癌の可能性がより高まる可能性がある.


採取保存

 凍結保存.


保険注意

 診療および他の検査(PSAなど)の結果から前立腺癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する.


推奨する総説

 栗山 学:腫瘍マーカー,前立腺特異抗原(PSA),前立腺特異抗原・α1-アンチキモトリプシン複合

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