診療支援
検査

尿中膀胱腫瘍抗原〔尿中BTA〕   80点
urinary bladder tumor antigen《BARD BTA test》
清水 史孝
(順天堂大学大学院准教授・泌尿器外科学)
堀江 重郎
(順天堂大学大学院教授・泌尿器外科学)

基準値 Ⅳ型ヒト由来コラーゲン濃度に換算して20μg/mL以上を陽性


測定法 ラテックス凝集反応(試験紙法)


検体量 新鮮尿数mL


日数 2~4日


目的 膀胱癌治療後の再発マーカー


NOTE‍ 保険点数:膀胱癌であるとすでに確定診断がされた患者に対して,膀胱癌再発の診断のために行い,検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り,悪性腫瘍特異物質治療管理料220点を算定する.


Decision Level

●陽性反応

[高頻度]高gradeの膀胱癌 [可能性]低gradeの膀胱癌,膀胱炎,尿路手術後,尿路結石,肉眼的血尿 [対策]陽性例では尿中核マトリックス蛋白質22(NMP22)あるいは尿細胞診を検査のうえ,膀胱鏡を施行


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 膀胱癌ではⅣ型コラゲナーゼ,プラスミン,エラスターゼなどのプロテアーゼが分泌され,膀胱上皮基底膜が破壊されるために基底膜に含まれるⅣ型コラーゲンなどの細胞外基質が断片化されて尿中に放出される.これらの基底膜断片は特異的な蛋白断片複合体であるBTAを形成する.BTA testは,BTAをヒトIgGでコーティングしたラテックス粒子と混合し,抗原抗体反応による凝集反応を試験紙で判定する.感度は尿細胞診より高いが,特異度は尿細胞診より低い.膀胱癌治療後の再発のマーカーとして有用であるが,肉眼的血尿患者のスクリーニングにも用いることができる.


判読

●測定値を増加させるもの

 膿尿,血尿,尿道膀胱手術後,尿道膀胱検査後では陽性になりやすい.

●測定値を減少させるもの

 発泡スチロール製カップは蛋白を吸収するため,採尿には用いない.


採取保存

①新鮮尿.②冷蔵で48時間以内は保存可.③発泡スチロール製カップは採尿に用いない(「判読」参照).


保険注意

 膀胱癌に適用される.


推奨する総説

 〆谷直人:腫瘍マーカー,尿中BTA.日本臨牀 63(増刊):782-7

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