基準値 Ⅳ型ヒト由来コラーゲン濃度に換算して20μg/mL以上を陽性
測定法 ラテックス凝集反応(試験紙法)
検体量 新鮮尿数mL
日数 2~4日
目的 膀胱癌治療後の再発マーカー
NOTE *保険点数:膀胱癌であるとすでに確定診断がされた患者に対して,膀胱癌再発の診断のために行い,検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り,悪性腫瘍特異物質治療管理料220点を算定する.
Decision Level
●陽性反応
[高頻度]高gradeの膀胱癌 [可能性]低gradeの膀胱癌,膀胱炎,尿路手術後,尿路結石,肉眼的血尿 [対策]陽性例では尿中核マトリックス蛋白質22(NMP22)あるいは尿細胞診を検査のうえ,膀胱鏡を施行
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
膀胱癌ではⅣ型コラゲナーゼ,プラスミン,エラスターゼなどのプロテアーゼが分泌され,膀胱上皮基底膜が破壊されるために基底膜に含まれるⅣ型コラーゲンなどの細胞外基質が断片化されて尿中に放出される.これらの基底膜断片は特異的な蛋白断片複合体であるBTAを形成する.BTA testは,BTAをヒトIgGでコーティングしたラテックス粒子と混合し,抗原抗体反応による凝集反応を試験紙で判定する.感度は尿細胞診より高いが,特異度は尿細胞診より低い.膀胱癌治療後の再発のマーカーとして有用であるが,肉眼的血尿患者のスクリーニングにも用いることができる.
判読
●測定値を増加させるもの
膿尿,血尿,尿道膀胱手術後,尿道膀胱検査後では陽性になりやすい.
●測定値を減少させるもの
発泡スチロール製カップは蛋白を吸収するため,採尿には用いない.
採取保存
①新鮮尿.②冷蔵で48時間以内は保存可.③発泡スチロール製カップは採尿に用いない(「判読」参照).
保険注意
膀胱癌に適用される.
推奨する総説
〆谷直人:腫瘍マーカー,尿中BTA.日本臨牀 63(増刊):782-7
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