診療支援
検査

尿中核マトリックス蛋白質22〔尿中NMP22〕   143点(包)
urinary nuclear matrix protein 22
知名 俊幸
(順天堂大学大学院准教授・泌尿器外科学)
堀江 重郎
(順天堂大学大学院教授・泌尿器外科学)

基準値 12U/mL以下


測定法 ELISA


検体量 新鮮尿5mL


日数 3~7日


目的 膀胱癌のスクリーニング,治療後の再発マーカー


Decision Level

●12U/mL以上

[高頻度]膀胱癌(高grade) [可能性]膀胱癌,尿路結石,前立腺肥大症,膀胱炎 [対策]陽性例では膀胱鏡あるいは画像診断による尿路上皮癌の精査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 NMP22は,核マトリックス蛋白質を免疫原として作製された2種類のモノクローナル抗体(302-22と302-18)によって認識される核蛋白質であり,また,核マトリックス蛋白質が細胞死に伴い可溶化型となり,体液中に分泌される.膀胱癌,腎盂癌など尿路上皮癌患者では尿中のNMP22が高いため,膀胱癌のスクリーニングや膀胱内再発のモニタリングに有用である.尿中NMP22精密測定の膀胱癌における有病正診率は61.1%であり,尿細胞診の33.3%に比べ約2倍,また腫瘍径が10mm未満の膀胱癌での有病正診率は42.3%であり,尿細胞診の11.5%に比べ約4倍高い値を示し,尿細胞診陰性群から多数の膀胱癌を検出した.顕微鏡的血尿患者からの尿路上皮癌の診断におけるプロスペクティブな検討では,尿中NMP22の尿路上皮癌の有病正診率は,85.7%を示した.尿中NMP22が陰性の場合は,尿路上皮癌の可能性は低く,従来の診断法に比べ経過観察における内視鏡などの侵襲的検査を減らすことができる.尿中NMP22の値は,年齢や性別の影響を受けない.


[関連する検査]

 尿細胞診との併用によって尿路上皮癌のスクリーニングにおける検出率が向上したとの報告がある.


判読

 尿中NMP22は尿路上皮癌以外に膿尿や炎症などでも基準値を超える数値を示すことがある.


採取保存

 新鮮尿.


保険注意

①尿沈渣顕微鏡検査において赤血球が認められ,尿路上皮癌の患者であることが強く疑われる者に

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?