基準値 16ng/mgCr未満
測定法 EIA法にて尿中のCK8およびCK18総量(UBC)を測定し,同時に測定した尿クレアチニン値を用いて補正UBC (UBC/Cr)を求める
検体量 尿100μL
日数 約4時間
目的 尿路上皮癌のスクリーニング
Decision Level
●16ng/mgCr以上(高値)
[高頻度]膀胱癌 [可能性]腎盂尿管癌,尿道癌,膀胱炎,尿路結石 [対策]本検査は顕微鏡的血尿,肉眼的血尿患者における尿路上皮癌のスクリーニングになり,高値では膀胱鏡,または尿管鏡,CT,尿細胞診を行う
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
CK8およびCK18は上皮性組織に由来する癌細胞内に高濃度で検出される蛋白である.本検査は,尿路上皮膀胱癌において92.8%という高い有病正診率を示し,一方,コントロール群における無病正診率は100%であった.同一検討でのこれらの値は,尿中NMP22での有病正診率58.8%に比較し有意に高く,無病正診率83.9%に対しても高い値を示した.低gradeの筋層非浸潤膀胱癌を対象とする検討において,本検査は尿中NMP22に比し有意に高い陽性率であった.また,腫瘍径30mm以上の膀胱癌における本検査の陽性率は100%であり,尿中NMP22の71.4%,尿細胞診の85.7%より高かった.さらに,腫瘍径10mm以下の腫瘍においても,89.5%という高い陽性率を示した.
一方,泌尿器科外来を受診した全患者に測定を実施した検討では,UBC/Cr陽性患者の15%が良性疾患であり,多くは膀胱炎あるいは尿路結石であった.偽陽性症例の多くは膿尿を伴っている.また,筋層非浸潤膀胱癌では経尿道的腫瘍切除術後に再発が起こりやすいが,本検査は再発のスクリーニングにも有用であると考えられる.
[関連する検査]
①本検査は,他の尿中膀胱癌マーカーである尿中NMP22,尿中BTAよりも
関連リンク
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