基準値
●肝線維化進展例(C型肝炎治療ガイドライン第8.1版の「肝線維化F2以上」にあたる)
・男性:0.910mg/L以上
・女性:1.27mg/L以上
●肝硬変
・男性:1.69mg/L以上
・女性:2.12mg/L以上
測定法 FEIA
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 慢性肝炎または肝硬変の患者に対して肝臓の線維化進展の診断の補助
Decision Level
●高値
[高頻度]肝線維化,肝硬変
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
オートタキシン(ATX)はリン脂質代謝酵素で,リゾホスファチジルコリン(LPC)を分解し,リゾホスファチジン酸(LPA)を産生する.LPAは臓器の線維化を引き起こす.慢性肝炎や肝硬変などの肝臓の線維化によりATXの代謝阻害が起こることでATXが血中に滞留し,さらにLPAが上昇し線維化が進むという負の連鎖が生ずる.ATXは肝線維化の初期段階から増加し,また,画像診断で判別しにくい初期の線維化を判別できる可能性もある.
[感度・特異度]
男女とも感度・特異度ともに80%以上であり,線維化F2以上で既存のマーカー(ヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲン・7S)と同等以上の弁別性能であった.
[関連する検査]
P-Ⅲ-P,Ⅳ型コラーゲン,Ⅳ型コラーゲン・7S,ヒアルロン酸,Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体が同じく肝臓の線維化のマーカーとされる(「保険注意」参照).
採取保存
冷蔵で21日保存可能.
保険注意
①サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法により,慢性肝炎または肝硬変の患者(疑われる患者を含む)に対して,肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定する.②P-Ⅲ-P,Ⅳ型コラーゲン,Ⅳ型コラーゲン・7S,ヒアルロン酸,Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体を併せて実施した場合は,主たるもののみ算定する.
推奨する総説
池田 均ほか:肝線維化マーカー.SRL宝函39:4-1