基準値 陰性
測定法 FISH法
検体量 未染色標本スライド3枚
日数 7~12日
目的 非小細胞肺癌のALK阻害薬(クリゾチニブ)治療の適応決定
Decision Level
●陽性(融合遺伝子の存在)
[高頻度] 非小細胞肺癌 [対策] ALK阻害薬(クリゾチニブ)の投与を検討する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ALKはインスリン受容体スーパーファミリーに属する未分化リンパ腫キナーゼをコードする.ALKは何らかの成長因子に対する受容体と考えられるが,染色体転座の結果キメラを形成することにより造腫瘍活性を獲得する.ALK遺伝子転座を認める肺癌症例においてALKチロシンキナーゼ阻害薬であるクリゾチニブによる腫瘍縮小効果および病勢安定効果が示されている.治療に先立ちキメラ遺伝子の有無を確認することが重要である.
[関連する検査]
ALK融合遺伝子の存在は,RT-PCR法を用いたEML4-ALK mRNAの増幅,あるいは,酵素抗体法を用いたALK蛋白の発現によっても確認される.
判読
ALK遺伝子を赤と緑のシグナルを発する2種類の蛍光プローブ(5'側と3'側の2カ所に位置する)でハイブリダイズする.再構成がない場合にはALK遺伝子は黄色に発色するが,再構成がありキメラ遺伝子が形成されている場合には,赤と緑のシグナルが別々に観察される.
採取保存
室温.
測定前後の患者指導
ALK融合遺伝子が認められた場合には,ALK阻害薬(クリゾチニブ)を用いた治療の適応となることを説明しておく.
保険注意
ALK阻害薬の投与の適応を判断することを目的として,FISH法により遺伝子標本作製を行った場合に,当該薬剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する.
推奨する総説
後藤 悌:ALK融合遺伝子陽性肺癌(ALK肺癌).日本臨牀 別冊 呼吸器症候群(第3版)Ⅴ:14-17,2021
(三谷 絹子)
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