診療支援
検査

BRAF遺伝子《BRAF V600》  
BRAF gene
三谷 絹子
(獨協医科大学主任教授・内科学(血液・腫瘍))

基準値 遺伝子変異を認めない


測定法 リアルタイムPCR法,次世代シーケンシング


検体量 未染色標本スライド 10μm厚5~10枚


日数 4~10日


目的 悪性黒色腫のBRAF阻害薬(ベムラフェニブ)の効果の予測,切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌における治療選択の補助,大腸癌におけるLynch症候群の(除外)診断の補助


NOTE‍ 保険点数:5,000点(包)(肺癌:次世代シーケンシング,悪性黒色腫:リアルタイムPCR法),2,500点(包)(肺癌:次世代シーケンシングを除く,大腸癌:リアルタイムPCR法),10,000点(肺癌関連遺伝子多項目同時検査)


Decision Level

●遺伝子変異陽性(BRAF遺伝子のV600変異を検出する.悪性黒色腫では約30~40%に,大腸癌では約5~6%に変異が観察される)

[高頻度・可能性]BRAF阻害薬の効果が期待できる悪性黒色腫,抗EGFR抗体薬が無効な切除不能進行再発大腸癌,Lynch症候群ではない大腸癌


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 BRAFは,細胞質内に存在する増殖シグナルの伝達分子である.多くの悪性黒色腫では,BRAF遺伝子の活性化型変異(V600)により,癌細胞内の増殖シグナルが恒常的に活性化している.このような場合,BRAF阻害薬が治療薬として効果を発揮する.BRAF遺伝子検査は,BRAF阻害薬の効果を予測するために重要な検査である.


[関連する検査]

 切除不能な進行・再発大腸癌に対して,抗EGFR抗体薬は標準的治療薬の1つであるが,RAS遺伝子変異陽性例あるいはBRAF遺伝子変異陽性例には効果が期待できない.両遺伝子変異(相互に排他的に出現する)の有無を検査することは一次治療の層別化に有用である.

 マイクロサテライト不安定性検査はミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とするLynch症候群の診断に有用であるが(マイクロ

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