基準値 陰性
測定法 免疫組織化学染色法(IHC)
検体量 ホルマリン固定パラフィン包埋切片
日数 7~10日
目的 結腸・直腸癌治療薬の適応の判定
Decision Level
●陽性
[高頻度]予後不良の悪性腫瘍,特に治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌 [対策]結腸・直腸癌の治療薬セツキシマブ(アービタックス®)の投与を検討する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
EGFRはヒト上皮増殖因子受容体(epidermal growth factor receptor)であり,HER1としても知られている.膜貫通型受容体であり,血管新生誘導,細胞増殖促進,アポトーシス阻害などの機能を有する.
EGFR蛋白の過剰発現を示す悪性腫瘍は予後不良であり,ホルモン療法,化学療法,放射線療法にしばしば耐性を示す.EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌には,アービタックス®(セツキシマブ:抗EGFRヒト・マウスキメラ化モノクローナル抗体)が適応である.
[関連する検査]
アービタックス®はK-ras遺伝子変異陰性例で効果が高いので,K-ras遺伝子変異検査を併用する.
判読
①染色を行った組織中の腫瘍細胞の細胞膜にわずかでも陽性シグナルが認められた場合には判定は陽性となり,陽性の判定にあたって,シグナルのパターンが連続性・全周性であるかどうかやシグナル強度がどうであるかは問われない.②腫瘍部の確認は必ずHE染色標本により行い,腫瘍細胞かどうかが確定できない細胞は判定対象から除外する.
採取保存
室温.
測定前後の患者指導
EGFR蛋白の過剰発現が認められた場合には,アービタックス®を用いた治療の適応となることを説明しておく.
推奨する総説
大塚弘毅:分子標的治療のコンパニオン診断としてのEGFR蛋白検査. Laboratory and Clinical Practice 29:85-90,2012
関連リンク
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