基準値 挿入は認められない
測定法 PCR法でFCMD遺伝子のレトロトランスポゾンDNAの挿入の有無を判定
検体量 血液7.0mL(EDTA-2Na加)
日数 14~18日
目的 福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)の遺伝子診断
Decision Level
●約464bpのPCR増幅産物のみを認める
[高頻度]典型的なFCMDである(挿入ホモ型)
●225bpのPCR増幅産物と約464bpのPCR増幅産物の両者を認める
[可能性]挿入へテロ型の非典型的なFCMDであり,挿入を認めない遺伝子に点変異がある可能性が高い
●225bpのPCR増幅産物のみを認める
FCMDではない
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
FCMDは,先天性筋ジストロフィーに脳奇形を伴う常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患であり,わが国の小児期進行性筋ジストロフィーではDuchenne型の次に多い.有病率は2.9/10万人で,日本人の約90人に1人が保因者である.福山型遺伝子は第9染色体長腕31領域に存在することがわかっており,ゲノム上で約100kbにわたり,10個のエクソンからなる.正常の遺伝子産物はフクチンと名づけられた461個のアミノ酸からなる分子量53.7kDの蛋白質である.
FCMDの約90%の患者では,この遺伝子の3'非翻訳領域内にレトロトランスポゾン挿入が認められる.この挿入配列は,今から約100世代前の1人の祖先から今日の患者の大部分へと受け継がれたものと推測される.創始者レトロトランスポゾン変異のホモの症例(2本の染色体両方にレトロトランスポゾン挿入がある)より,創始者変異と点変異を1個ずつもつ複合へテロの症例(1本はレトロトランスポゾン挿入があり,もう1本はFCMD遺伝子に点変異を認める)のほうが重症であり,点変異を2個認める症例は1人もいない.つまり,レトロトランスポゾンDNA挿入された染色体からは
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