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検査

Y染色体微小欠失検査   3,770点
Y chromosome microdeletion test
永尾 光一
(東邦大学教授・泌尿器科学)

基準値 Y染色体微小欠失なし


測定法 PCR-rSSO法


検体量 血液2mLまたは5mL


日数 10日~2週間


目的 顕微鏡下精巣内精子採取術の方針決定


Decision Level

●Y染色体微小欠失

[対策]欠失の種類によって,顕微鏡下精巣内精子採取術での精子回収の可能性を判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Y染色体微小欠失が起こるメカニズムは,遺伝子の相同配列間で再組換えが起こることである.

 AZFa,AZFb,AZFb+cの完全欠失では,無精子症になるといわれており,顕微鏡下精巣内精子採取術での精子回収の見込みが著しく低く,手術は行われない.

 AZFcの完全欠失では,無精子症もしくは乏精子症になるといわれているが,精巣内精子採取術による精子回収の可能性が50~70%ある.妊娠する可能性があるが,男児が出生した場合は,Y染色体微小欠失を受け継ぐことになる.Y染色体微小欠失を受け継いだ男性は将来,男性不妊になる可能性がある.

 AZFc部分欠失には,gr/gr欠失,b1/b3欠失,b2/b3欠失があり,gr/gr欠失は,欧米では男性不妊に影響するが,日本では男性の33%に認められ妊孕性に影響ないとされている.その他の欠失には部分欠失,Y染色体異常や多型などもあり,その場合の表現型はさまざまである.

 まれな報告であるが,AZFb部分欠失やY染色体異常の切断部位によって精子回収の可能性がある.


[感度・特異度]

 感度約99%,特異度100%.


[関連する検査]

 染色体G-Banding:厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行う場合に限り保険で算定可能.染色体の数的異常,構造異常を検出し,不妊など染色体異常に関わる疾患の診断に有用である.染色体異常は,男性不妊の2~10%にあり,クラインフェルター症候群,常染色体の相互転座(均衡

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