基準値 8.4μg/gCr以下
測定法
・酵素免疫測定法(EIA)
・ラテックス凝集比濁法
・免疫化学発光法
・イムノクロマト法(半定量法)
検体量 部分尿または蓄尿0.1~1mL
日数 1~3日(半定量法は判定時間15分)
目的 尿細管機能障害を伴う腎疾患〔慢性腎臓病(CKD)と急性腎障害(AKI)〕の診断の補助(注:糸球体疾患であっても二次的に尿細管は障害される)
Decision Level
●10μg/gCr以上(増加)
[高頻度]CKDの増悪,特に糖尿病性腎臓病,慢性糸球体腎炎,間質性腎炎 [対策]他の尿所見と腎機能のモニタリング,原因の診断と治療
●50μg/gCr以上(高度増加)
[高頻度]進行したCKD,AKI [可能性]薬物性腎障害,造影剤腎症,特に敗血症や大動脈瘤の開腹手術(腎動脈より上部での大動脈遮断)では1,000μg/gCrを超える場合もある [対策]他の尿所見と腎機能のモニタリング,原因の診断と治療
●L-FABPが低下する病態はない
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
L-FABPは127個のアミノ酸からなる14kDaの小さな蛋白質である.L-FABP分子は独特の貝殻様構造をもち,その貝殻様構造で脂肪酸を挟んでペルオキシゾームまたはミトコンドリアに輸送する.脂肪酸はここでβ酸化を受けエネルギー源となる.すなわちL-FABP は脂肪酸の輸送蛋白であり,細胞内の脂肪酸の恒常性維持に重要な役割を果たしていると考えられている.L-FABPは肝臓と腎臓の近位尿細管に発現しており,尿中に排泄されるL-FABPはほとんどが近位尿細管に由来する.
腎臓の近位尿細管上皮細胞内で脂肪酸が増加する病態(脂肪酸ストレス)ではL-FABPの発現が亢進して細胞内の遊離脂肪酸の処理能力を高める.このときにL-FABPの尿中への排泄が増加する. 遊離脂肪酸は容易に過酸化を受けるため,処理能力を上回る脂肪酸
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