基準値 2mg/日以下
測定法 比色法
検体量 尿3mL
日数 3~10日
目的 ポルフィリン症の存在・鑑別診断
Decision Level
●2~5mg/日(増加)
[高頻度]急性間欠性ポルフィリン症(AIP)寛解期,潜在性AIP [可能性]溶血性貧血,鉄芽球性貧血 [対策]尿中ALA,ポルフィリン体測定,各種貧血検査,遺伝子解析.誘発物質の禁止
●5mg/日以上(高度増加)
[高頻度・可能性]AIP・異型ポルフィリン症(VP)・遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)の急性期 [対策]臨床症状,糞便中のポルフィリン体測定,遺伝子解析.誘発物質の禁止
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ポルフィリンおよびポルフィリン前駆体は一連の生合成経路を介してヘムに合成される.ヘムはその3/4が骨髄で合成されヘモグロビンとなり,1/4は肝で合成されチトクロームP450となる.
ポルホビリノゲンはポルフィリン前駆体で,肝性ポルフィリン症のうちで,AIP,HCP,VPにおいて尿中に増加する.AIPはポルホビリノゲンデアミナーゼの欠損症で,HCPはコプロポルフィリノゲンオキシダーゼ,VPはプロトポルフィリノゲンオキシダーゼの欠損症であることが知られている.
[関連する検査]
鉛による生体障害が認められる場合は,造血障害すなわちヘム合成障害の結果として尿中ALA,コプロポルフィリン,赤血球内プロトポルフィリン増加がみられる.
判読
①加齢による変化はみられない.②食事による影響はほとんど認められない.③日内変動,季節変動も認められない.④鉛中毒では正常である.
採取保存
①室温で放置すると褐色のポルフィリンになる.②pHや酸化物質でポルフィリンに変化するので炭酸ナトリウムを加えて蓄尿し,冷暗所に保存する.
薬剤影響
上昇フェニトイン,カルバマゼピンで上昇する.
推奨する総説
矢野雄三:ポルフィリン症:概念,分類と鑑別診断.日
関連リンク
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- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/ポルフィリン症
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