基準値 21.5~59.0pg/mL(SRL)
測定法 CLEIA
検体量 2.5mL
日数 3~9日
目的 アルツハイマー型認知症の診断補助
Decision Level
●59.0pg/mLより高値(増加)
[高頻度]アルツハイマー病 [可能性]非アルツハイマー病理変化(suspected non-Alzheimer's pathologic change;SNAP) [対策]必要に応じて髄液アミロイドβ(Aβ)42/40比により脳内Aβ沈着の有無を確認する.髄液Aβ42/40比の減少を伴わない場合,認知症の原因はSNAPによると判断する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
タウ蛋白は,脳内のAβ沈着に誘発され,過剰なリン酸化および断片化を受け神経細胞から放出され,髄液内で増加すると考えられている.また,髄液リン酸化タウ蛋白は脳内の神経原線維変化の広がりと相関する.そのため,髄液リン酸化タウ蛋白の増加は認知症疾患のなかでもアルツハイマー病に特異的な所見である.一般的に,タウの181番目のアミノ酸であるスレオニンがリン酸化されたものが測定されている.
[感度・特異度]
認知症の鑑別診断において,アルツハイマー病による認知症と診断する感度は97%,特異度は100%と報告されている.
[関連する検査]
脳内のアミロイド沈着を反映する髄液Aβ42/40比の減少と,タウ蛋白蓄積を反映するリン酸化タウ蛋白の増加は,アルツハイマー病患者の脳内病理変化と相関する.そのため,リン酸化タウ蛋白の増加を認めても,髄液Aβ42/40比の減少を伴わない場合,認知症の原因はSNAPによると判断する.
判読
リン酸化タウ蛋白の値は,測定法により大きく異なり,また同一測定法であっても実施機関により異なる.
採取保存
指定の容器を用いて所定の量を提出しない場合,測定値が低下する可能性がある.冷蔵保存.クロイツフェルト・ヤコブ病
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