病態
鑑別診断には腫瘍の好発部位が重要であり,前縦隔では奇形腫,胸腺腫,甲状腺腫が多く,特に上前縦隔での発生頻度が高い.中縦隔では気管支嚢胞,心膜性嚢胞,後縦隔では神経原性腫瘍,消化管嚢胞が多い.リンパ腫は,中縦隔,前・後縦隔上部に多発するが,リンパ節の分布領域には発生しうる
[参考]
肺癌診療ガイドライン―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2021年版
異常値
・胸部X線 正面像,側面像により腫瘍の占拠部位を確認.大きさ,腫瘍の性状などを把握する.しかし単純写真のみでは診断できない場合があり,CTが是非とも必要
・胸部CT 胸部X線所見に加えて造影検査を行うことにより,部位について,より多くの情報が得られる.生検のアプローチを検討するのに有用
・血算・生化学検査 一般検査で異常を認めることは少ない.胸腺腫では赤芽球癆,低γ-グロブリン血症を合併.α-フェトプロテインが絨毛性腫瘍で高値となることがある.