診療支援
検査

大動脈弁狭窄症(AS)
田口 淳一
(東京ミッドタウンクリニック院長)

病態

 大動脈弁狭窄による左室圧負荷.原因は二尖弁,加齢による変化


[参考]

 2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン


異常値

・身体所見 [心音]心基部中心の収縮期雑音,遅脈

・心電図 左室肥大

・胸部X線 ときに左室肥大,上行大動脈拡張,弁石灰化

・心エコー 大動脈弁狭窄(石灰化,二尖弁),狭窄部を通るジェット流および乱流,断層像による弁口面積〔AVA(cm2)〕,ドプラ法による左室-大動脈圧較差〔mPG(mmHg)〕,大動脈弁最大流速〔Vmax(m/秒)〕.2020年版の日本循環器学会などのガイドラインでは,軽症(Vmax:2.6~2.9,mPG<20,AVA>1.5),中等症(Vmax:3.0~3.9,mPG:20~39,AVA1.0~1.5),重症(Vmax≧4.0,mPG≧40,AVA<1.0)である.ただし,低流量低圧較差ASには注意が必要である.二尖弁は全人口の0.5~2%,男女比は3:1.


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●プロトロンビン時間‍ [人工弁置換後,ワルファリンを使用しているとき]ワルファリン治療域決定のため(INR2~3)1カ月ごと.非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(DOAC)は使用しないこと

●末梢血検査,LD,ビリルビン,ハプトグロビン

‍ [人工弁置換後,同部に逆流(リーク)が生じたとき]測定頻度は病態による(1週間に1回~6カ月に1回).意義は赤血球破砕の程度を調べるため

●心エコー‍ [回復期]左心機能および弁の性状判定のため1年ごと.

●BNP/NT-proBNP BNP<40pg/mLかつNT-proBNP<125pg/mLであれば左心負荷を除外しうる.BNP≧100pg/mL,NT-proBNP≧400pg/mLは心不全症の目安である


診断・経過観察上のポイント

①自覚症状(狭心痛,心不全症状)が出現すれば手術の絶対適応である.また,それ以前でも,心

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