診療支援
検査

食道炎
芦苅 圭一
(あしかり内科/横浜市立大学客員講師・非常勤講師)
中島 淳
(横浜市立大学主任教授・医学研究科肝胆膵消化器病学)

病態

 食道粘膜に何らかの炎症が起こり,ときにびらんや潰瘍を形成するもの.逆流性,薬剤性,好酸球性,腐食性,ウイルス性,真菌性などの食道炎があり,最も多いのは逆流性食道炎である


[参考]

 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021(改訂第3版)


異常値

・上部消化管内視鏡検査 食道炎を診断する唯一の検査法.食道粘膜の色調,不整の有無,炎症の程度を確認することができる.生検を行い,炎症性変化か腫瘍性変化か鑑別する必要がある.食道炎の原因はさまざまであり,問診による原因の推定が基本であるが,組織生検によって原因を特定できる場合もある.好酸球性食道炎の診断には食道粘膜生検で15個/HPF以上の好酸球を確認することが必須であり,生検は大切である.食道炎で最も多い胃食道逆流症(GERD)の診断においては,Los Angeles分類を用いて重症度を評価する(表220).食道粘膜傷害の内視鏡的重症度と自覚症状は必ずしも相関しないので知っておきたい

・24時間食道pHモニタリング 下部食道括約筋(LES)上縁5cmにpH電極を留置し,24時間の胃酸の胃食道逆流を測定する.GERD診療におけるゴールドスタンダードの1つである.ワイヤレス式(Bravo®)の登場により患者が不快感を抱かず検査可能となったが,保険適用はない.pH4未満の時間率が4%以上の場合,GERDと診断される

・24時間食道インピーダンス プローブ上に配列された多数の電極のうち隣接する2電極間の電気抵抗を測定することにより逆流の有無や,通過する内容物の性状(空気,液体)を判定する

・PPIテスト(プロトンポンプ阻害薬テスト) PPIを用いた治療的診断で,full doseのPPIを数日~2週間程度投与し,胃酸分泌を抑制し症状の変化をみる.近年では,より早くより強力な酸分泌抑制効果を発揮するP-CAB(potassium-comp

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