病態
下部食道括約筋(Lower esophageal sphincter;LES)の弛緩不全により通過障害を認める,原因不明の消化管運動障害.食物の通過障害,逆流・嘔吐,胸痛,体重減少などの症状を引き起こす
[参考]
POEM診療ガイドライン,2018
異常所見
・胸部X線写真 食道陰影の出現,胃泡の消失
・胸腹部CT 異常に拡張した食道や食道内残渣の貯留がみられる
・上部消化管内視鏡検査 食道アカラシア患者における食道癌の合併(7~33倍のリスク高)や,食道胃接合部癌による偽性アカラシアの除外目的に内視鏡検査は必須である.食道アカラシアでは,食道胃接合部(esophago-gastric junction;EGJ)での管腔の狭小化,口側の拡張がみられるが,内視鏡所見に異常を認めない非典型例も約半数に存在する.他に深吸気時に下部食道でみられる全周性の放射状ひだ像(esophageal rosette)や食道の細かい縦皺(pinstripe pattern)などが特徴的な内視鏡所見として報告されている
・食道X線造影検査 典型例では,拡張した食道内腔,造影剤の滞留,EGJにおける鳥のくちばし状の狭小像を認める.形状分類と拡張度分類があり,形状分類では直線型(straight type;St型)とシグモイド型(sigmoid type;Sig型)に分類される.進行した食道アカラシアではシグモイド型の陰影像となることがある.また食道内径の拡張度によりⅠ型(3.5cm未満),Ⅱ型(3.5~6cm未満),Ⅲ型(6cm以上)に分類される
・食道内圧検査 高解像度内圧測定機器(high resolution esophageal manometer;HREM)を用いた食道蠕動障害の分類として「Chicago分類」がある.Type Ⅰ:嚥下波の100%がfailed peristalsis,Type