診療支援
検査

慢性肝炎(CH)
内田 義人
(埼玉医科大学・消化器内科・肝臓内科)
持田 智
(埼玉医科大学教授・消化器内科・肝臓内科/診療部長)

病態

 6カ月以上肝炎が続く状態をいうが,わが国ではC型およびB型肝炎ウイルスによるものが多い


[参考]

 B型肝炎治療ガイドライン(第4版) 2022

 C型肝炎治療ガイドライン(第8.1版) 2022

 慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2019


異常値

・AST,ALT 上昇の程度はさまざまである

・γ-GT 高値のときはアルコールの関与を検討する

・血小板 肝硬変に至る前から減少傾向を示す

・HCV抗体 C型慢性肝炎で陽性

・HBs抗原 B型慢性(および急性)肝炎で陽性

・HBe抗原,HBe抗体 B型肝炎ウイルスの状態を示す

・HBV-DNA B型肝炎ウイルスの直接測定

・HCV-RNA C型肝炎ウイルスの直接測定

・腹部超音波,CT,MRI 肝硬変との鑑別および肝細胞癌のチェック

・肝硬度測定 肝硬変との鑑別

・肝生検 病期の確定診断


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●血液検査‍ [定期的スクリーニング]1~2カ月ごと

●HBV関連マーカー‍ [定期的スクリーニング]適宜

●HBV-DNA‍ [抗ウイルス薬使用前と経過観察中]1カ月ごと

●HCV-RNA定量・サブタイプ‍ [抗ウイルス薬使用前と経過観察中]DAA治療前,DAA治療後は3カ月~1年ごと

●腹部超音波,肝硬度測定‍ [定期的スクリーニング]3カ月~1年ごと


診断・経過観察上のポイント

①B型慢性肝炎では重度の急性増悪を起こすことがある.異常な経過のときはHDVも測定する.また,B型は若年者から肝癌が発生する.②C型慢性肝炎では急性増悪はまれであるが,肝硬変に進むと肝細胞癌発生の危険が大きくなる.B型・C型肝炎では,各種抗ウイルス薬が開発されており,治療に当たってはHBV-DNA,HCV-RNAで経過観察する.③近年ウイルス性肝炎の減少に伴い,脂肪肝などの内因性の病因による慢性肝炎の比率が増している.


(内田 義人,持田 智)

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