診療支援
検査

脂肪肝(FL)
富谷 智明
(埼玉医科大学教授・消化器内科・肝臓内科)
持田 智
(埼玉医科大学教授・消化器内科・肝臓内科/診療部長)

病態

 肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積した状態を示す.原因として,肥満,内分泌性(糖尿病など),アルコール性,薬物投与,急性妊娠脂肪肝,Reye症候群などがある


[参考]

 脂肪肝の超音波診断基準(案)「脂肪肝の超音波診断基準」 2019

 NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)


異常値

・トランスアミナーゼ しばしば軽度上昇.AST<ALTのことが多い.アルコール性ではAST>ALTが多い

・γ-GT しばしば上昇.特にアルコール性で上昇

・中性脂肪 しばしば高値

・コリンエステラーゼ ときに高値

・腹部超音波 肝実質内部エコー輝度の増強(bright liver),深部減衰,肝内脈管像の不明瞭化,肝・腎コントラスト陽性.肝は腫大し辺縁鈍

・深部減衰の超音波による測定 CAP(controlled attenuation parameter),ATI(attenuation imaging),ATT(attenuation)

・腹部CT 肝実質の脂肪沈着(肝/脾CT値比の低下)

・腹部MRS(MR spectroscopy) 肝の脂肪沈着の定量化

・肝生検 肝細胞中に脂肪滴が貯留


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●血液検査‍ [定期的スクリーニング]3~6カ月ごと

●腹部超音波‍ [定期的スクリーニング]6カ月~1年ごと


診断・経過観察上のポイント

①無症状であることが多い.②原因となる基礎疾患を治療することで治る場合が多い可逆的変化である.薬物やアルコールの中止,肥満の改善などにより線維化を含め改善を見込める.③非アルコール性脂肪肝(NAFLD)が近年増加し,肝線維化,炎症細胞浸潤,肝細胞壊死を認める非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝硬変への進展,肝細胞癌の合併が認められるため,定期的に検査,画像診断を行う必要がある.④NAFLDでは血小板20万/μL以下では線維化要注意であ

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