診療支援
検査

原発性肝癌 肝細胞癌(HCC)
今井 幸紀
(埼玉医科大学准教授・消化器内科・肝臓内科)
持田 智
(埼玉医科大学教授・消化器内科・肝臓内科/診療部長)

病態

 肝細胞から発生した癌


[参考]

 肝癌診療ガイドライン2021年版

 肝癌診療マニュアル第4版,2020


異常値

・AFP 10~20ng/mL以上では,HCCを疑う

・AFPレクチン分画 特異度が高い(AFP-L3分画は10%以上).AFPの上昇に先行することが多い

・PIVKA-Ⅱ 40mAU/mL以上.AFPと相補的にカバーする.非代償性肝硬変例を除くと特異性が高い.高値の場合,腫瘍のサイズが大きい.また,腫瘍塞栓も認めやすい

・腹部超音波 3cm以上でモザイク,ハローなどを認める.2cm以下ではエコー上,highやlowを呈する,ソナゾイド®造影超音波検査が有用である.

・CT 典型的HCCでは動脈相で早期濃染,門脈相で欠損する(dynamic CTが有用)

・MRI Gd-EOB-DTPAを用いたdynamic studyではCTより検出能に優れ, 特に乏血性高分化型HCCの描出など早期診断に有用である

・肝動脈,門脈造影 腫瘍濃染,A-Pシャント,腫瘍塞栓など. TACE(肝動脈化学塞栓術)などの治療手技と併せて施行される場合が多い. IVR-CTシステムを用いたCTHA(肝動脈下造影下CT), CTAP(経動脈性門脈造影下CT)は診断能に優れるが, 実施可能な施設は限られる

・腫瘍生検 画像検査で確定診断が得られない場合に行う


治療後経過観察のための検査項目とその測定頻度

●AFP,PIVKA-Ⅱ,AFP-L3分画 1カ月ごと

●腹部超音波 3カ月ごと

●CT,MRI 1~3カ月ごと


診断・経過観察上のポイント

①ウイルス性肝炎の定期的スクリーニングとしては,腹部超音波を,肝硬変で3カ月,慢性活動性肝炎で6カ月間隔で行う.②腫瘍マーカーは,早期発見(2cm未満)には,役立たない.③約60%がC型肝炎,約15%がB型肝炎を背景に発生.最近はNASHからの発癌も注目されている(特に70歳以上の

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