病態
骨髄において,造血器細胞が腫瘍性に増殖する疾患.急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)に大別される
[参考]
造血器腫瘍診療ガイドライン第2版〔2018年版〕補訂版,2020
異常値
・末梢血液像 芽球の出現,白血病裂孔を認める.Auer小体(AMLの場合)を認めることもある
・骨髄検査 過形成で芽球(急性白血病細胞)が増加している(FAB分類では30%以上,WHO分類では20%以上).また,形態観察のみならず,化学染色(MPO,エステラーゼなど),表面抗原解析,染色体・遺伝子検査などを行う
・病型分類 FAB分類(表227図)が病型分類に用いられていたが,現在は新WHO分類が主流である(表228図,表229図)
・LD,尿酸 増加
・リゾチーム 病型(M-4,M-5)により増加
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●末梢血検査 [急性期]1~2日ごと [寛解期]2~4週ごと
●骨髄検査 [急性期]2~4週ごと [寛解期]1~6カ月ごと
●凝固系 [急性期]2~3日ごと [寛解期]2~3カ月ごと
●血液生化学 [急性期]2~3日ごと [寛解期]2~4週ごと
診断・経過観察上のポイント
①主症状として貧血,発熱,出血がみられる.②末梢血に芽球の出現があればALを鑑別診断にあげる.③骨髄が白血病細胞で占められていれば診断の決め手となる.④白血病裂孔が観察されれば,慢性骨髄性白血病や類白血病反応との鑑別に有用である.⑤病型の分類にはライトギムザ染色による標本の観察,ペルオキシダーゼ染色,エステラーゼ染色などの化学染色の所見,表面マーカー解析,染色体分析,遺伝子分析などを行い,総合的に判断する.⑥MDSから発症したものや,3系統に異形成がみられる場合もある.⑦凝固スクリーニングテスト,特にフィブリノゲンならびにFDP(Dダイマー)の値からDICを考える.
(神田 善伸)
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