診療支援
検査

慢性骨髄性白血病(CML)
神田 善伸
(自治医科大学教授・内科学講座血液学部門)

病態

 多能性造血幹細胞レベルでの異常による骨髄系細胞増殖と脾腫を特徴とする造血器腫瘍


[参考]

 造血器腫瘍診療ガイドライン第2版〔2018年版〕補訂版,2020


異常値

■慢性期(chronic phase)

●フィラデルフィア染色体〔t(9;22)〕 陽性

●major BCR/ABLキメラ遺伝子 確認される

●白血球数 著明な増加(好塩基球,好酸球増加)

●幼若顆粒球 段階的出現

●白血病裂孔 認められない

●骨髄検査 顆粒球系中心の著明な過形成,M/E比上昇

●好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコア 低値

●LD,ビタミンB12 上昇

●腹部画像 脾腫を認める.ときに巨脾を呈する

■移行期を示唆する所見

●赤血球数 300万/μL以下(原因不明の貧血)

●血小板数 著減または著増(10万/μL以下,または300万/μL以上)

●慢性期治療に抵抗する白血球数 増加(5万/μL以上)

●末梢血または骨髄中の好塩基球 著増(20%以上)

●骨髄穿刺 dry tap

●NAPスコア 上昇(100以上)

■急性転化期(blast crisis)

●白血病裂孔 認められる(移行期には認めない)

●幼若顆粒球 増加

●著明なリンパ節腫大,その他腫瘤形成

●移行期(accelerated phase)を経ることも多い


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●末梢血検査‍ [慢性期]4~8週ごと

●遺伝子検査(Amp-CMLなど)‍ [慢性期]1~6カ月ごと,チロシンキナーゼ阻害薬やインターフェロン(IFN)による治療時

●骨髄検査‍ [慢性期]治療開始後3~6カ月ごと,その後は必要に応じて

●腹部画像 必要に応じて測定

●血液生化学‍ [慢性期]1~2カ月ごと

●急性転化期の検査 急性白血病に準ずる


診断・経過観察上のポイント

①健診で発見されることが多く,初期にはほとんど自覚症状がないが,身体所見としては脾腫が多い.②フィラデルフィア(

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