診療支援
検査

IgA腎症(IgAN)
堀田 晶子
(東京大学大学院医学系研究科・医学部臨床実習・教育支援室(腎臓・内分泌内科))

病態

 糸球体性血尿や蛋白尿を持続的に呈する.本邦の慢性糸球体腎炎(CGN)の原因として最多であり,本邦では健診での発見が最も多いが,急性上気道炎などに続いて肉眼的血尿を呈することもある.腎生検上,メサンギウム領域を主体とするIgAの顆粒状沈着を認め,メサンギウム細胞と器質の増殖性変化を主とした多彩な病変がみられる.予後はかつて考えられていたより悪く,30~40%の患者が20年程度の経過で末期腎不全に至り腎代替療法を要する.IgA1ヒンジ部の糖鎖異常が発症原因であるという説が有力である


[参考]

 エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020

 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018


異常値

・尿検査 [必発所見]持続的顕微鏡的血尿(RBC>5/HPF) [頻発所見]間欠的または持続的蛋白尿(>0.15g/日) [偶発所見]肉眼的血尿,3回以上確認する(「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020」より)

・血液検査 血清IgA値の高値(315mg/dL以上)が頻発する.IgA/C3比の高値(>3.0)も鑑別に有用とされる.BUN,Cr,eGFRは腎機能を反映する

・腎不全進行時 貧血(Hb<11g/dL),電解質異常〔(補正)Ca低値,P・K高値〕を呈する

・腎生検 光学顕微鏡ではメサンギウム増殖性変化を中心とする多彩な病変,免疫染色では主にメサンギウムへのIgAの有意な沈着を認める

・上気道感染時など 肉眼的血尿(赤~褐色のこともある)は特徴的で診断に有用


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●尿蛋白量 eGFR値により頻度が異なる(「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020」参照).

・尿蛋白<0.5g/gCrでは3~12カ月ごと,0.5~1g/gCrでは1~3か月ごと,1g/gCr以下では2週~3カ月ごと.

・尿蛋白<0.5g/gCrかつeGFR<6

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