病態
膀胱腫瘍のうち良性腫瘍はきわめてまれであり,ほとんどが膀胱尿路上皮より発生する癌(膀胱癌)である.男女とも60歳以降で増加し,男性が女性より多く約4倍である
[参考]
膀胱癌診療ガイドライン2019年版
異常値
●尿検査 潜血反応陽性,顕微鏡的血尿,肉眼的血尿
●尿細胞診 尿中への腫瘍細胞脱落(悪性度診断可能)
●尿中NMP22 高値を示す(カットオフ値12.0U/mL)
●尿中BTA 陽性反応を示す
●尿中サイトケラチン8・サイトケラチン18総量 高値を示す(カットオフ値16ng/mgCr)
●超音波 腫瘍のスクリーニングに用いる.浸潤性膀胱癌の場合や尿管癌を伴う場合の水腎症の診断に有用
●膀胱鏡 腫瘍の形態により乳頭状(papillary),結節状(nodular)に分類,さらに有茎性,広基性に分類
●MRI 特に造影MRIで腫瘍深達度診断に最も有用
●CT 特に造影CTではリンパ節や他臓器の転移の有無がわかる
●IVP(静脈性腎盂造影),DIP(点滴静注腎盂造影)
膀胱内のfilling defectの他,腎盂尿管病変の存在の確認のために従来から用いられてきたが,最近ではCT urographyやMR urographyの汎用により意義は減っている
●腫瘍マーカー 進行癌で上昇する
・フェリチン 上昇することがある
・SCC 上昇することがある
・CEA 上昇することがある
・HCG-β 高grade,転移を有する症例で上昇,進行度と相関する
経過観察のための検査項目とその測定頻度
■膀胱温存治療後:膀胱内再発チェック
●尿細胞診 定期的に1~3カ月ごと
●膀胱鏡 定期的に3~6カ月ごと
■膀胱全摘除術後:再発および転移のチェック
●尿細胞診 上部尿路再発測定のために手術後に1回,その後3~6カ月ごと
●膀胱鏡 [経過観察期]尿路変更術に新膀胱を用いた場合には尿道新膀胱吻合部の再発もありうるため膀胱鏡の確認