診療支援
検査

成人スチル病
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 原因不明の全身性炎症性疾患で,希少疾患である.何らかの炎症反応制御機構の障害を背景としてウイルス感染や細菌感染などを契機に,マクロファージや好中球の異常活性化,さらに血清IL-1,IL-6,IL-18などの産生亢進が持続すると考えられる.不明熱の代表的疾患で,特徴はスパイク状の高熱(弛張熱,間欠熱),多関節痛,リンパ節腫脹,皮疹で,検査値では著明な炎症反応上昇や白血球増多,高フェリチン血症,肝機能異常などである.臓器障害は,いわゆる膠原病とは異なりまれであるが,マクロファージ活性化症候群(MAS),反応性血球貪食症候群(rHPS),播種性血管内凝固症候群(DIC)など生命予後不良となる合併症がみられる.


[参考]

 成人スチル病診療ガイドライン2017年版


異常値

・血液検査 赤沈亢進,CRP上昇,白血球増加,血小板増加,肝酵素上昇,フェリチン著増,IL-6高値,IL-18著増

・多発関節痛・炎,リンパ節腫脹,サーモンピンク疹(有熱時が多いが無熱時にみられる場合もある)

・胸部X線/胸部CT 感染症の有無,間質性肺炎の検出


経過観察のための検査項目とその測定頻度

・血液検査 [急性期]急性期には,CRP,赤沈,CBC,クレアチニン(Cr),肝機能,Na,K,Cl,Caなどを2~3日に1回程度測定する.血清フェリチンは,1~2週に1回測定し,治療の有効性の目安にする.血清IL-6を治療前に測定しておく.免疫抑制治療による副作用の予防や早期発見のために以下の検査が必要である.感染症の予防・早期発見を目的に,免疫抑制治療開始前にHBs抗原,HBs/c抗体,HCV抗体,Tスポット(IGRA),β-D-グルカンを測定し,陽性であればさらに精査を行い,発症予防治療もしくは定期的な検査を行う.副腎皮質ステロイドを大量に用いることから,糖尿病や脂質異常症の早期発見・治療を目的に,血糖値,HbA1c,

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